UMPC

これぞ現代のPSP、「GPD WIN4 2023」

amagi-to-enjoy-your-pc

GPD Technologyの「GPD WIN4 2023」は、ハンドヘルド機というコントローラー一体型のゲーム機ライクなUMPC。2022年末に発表され、国内では2023年春に発売となった「GPD WIN4」のスペックアップモデルです。主なスペックはRyzen5モデルがAMD Ryzen™ 5 7640U 、16GBメモリー、AMD Radeon™ 760M 、512GBのSSD。Ryzen7モデルがAMD Ryzen™ 7 7840U、32GB or 64GBメモリー、 AMD Radeon™ 780M 、2TB or 4TBのSSD。OSは共にWindows 11 Homeを搭載しています。カラーはマットブラックとピュアホワイトの2種類ありますが、ピュアホワイトはAMD Ryzen™ 7 7840U、32G メモリー、2TB SSDの1モデルのみです。

Amazonリンク
現在は2025のモデルになってます。https://amzn.to/4fA908K
現在は2025のモデルになってます。https://amzn.to/4fA908K

今回は株式会社天空からRyzen5モデルの実機をお借りしましたので、各種ベンチマークを実施して製品の特長や性能を確認していこうと思います。

懐かしのデザインにパソコンを融合。小さな筐体に機能を凝縮した
オールインワンなガジェット

ハンドヘルド機といわれるゲーム機タイプのPC。Nintendo Switchとも比較。
本体のみ603g、充電器込みでも782g

まずは外観や付属品から。「GPD WIN4 2023」の本体サイズは、幅約221×奥行き約93.1×厚さ約28.9~40.9mmで、重量は603g。充電器を合わせても782gとUMPCの中でも軽量です。Nintendo Switchと比べると一回り小さいですが、厚みは1.5~2倍近くあります。
ただ小さい見た目に対するギャップのためか 今までレビューした他のハンドヘルド機と比べると、手に持った時に重量以上にずっしり感じるというのが初めて触った時の印象です。

なによりも目を惹くのがこのPSPやPS Vitaを彷彿させるフォルム。ストラップホールや側面に物理スイッチを配置するなど細かなところも再現されており、懐かしさからこのデザインだけで心揺さぶられるゲーマーの方も多いのではないでしょうか。
さらにスライド式ディスプレイの採用とキーボードが搭載されており、ガジェット好きの心にも刺さる2段構え。 本機の見た目はゲーム機ですが、あくまでもWindows11が搭載されたPCです。WiFiのパスワード入力や、各種アカウントのログインで文字入力が必要になるのはもちろん、ゲーム内チャットやキーボードショートカットなど、PCである以上あらゆる場面でキーボードが欲しいと感じる場面があります。Windowsにはソフトウェアキーボードが標準で備わっていますが、ソフトウェアキーボードはあくまで補助的なものなので快適な操作とは程遠く、入力レスポンスの悪さやキーボードが画面を覆い隠して入力場所が見えなくなるなどストレスを感じるシーンが多いです。Bluetoothキーボードも悪くはないですが、持ち運びのことを考えると荷物が嵩張ります。持ち運びに便利な折り畳みキーボードでも200g弱はありますので、キーボード付きで約600gというのは圧倒的な強みだと思います。
これだけでも十分な魅力がありますが、GPD WIN4 2023にはほかにも多くの魅力が詰まっています。

指紋認証のセンサー

コントローラーにはXinputのXboxタイプコントローラーが採用され、ほとんどのゲームでキー割り当てを変更することなくプレイ可能です。左のコントローラー下部には指紋認証のセンサーが搭載されており、ログイン時にスムーズなロック解除が可能。右のコントローラー下部には光学式のポインティングデバイスを搭載。こういったゲーミングUMPCはアプリやボタンでコントローラーの認識を切り替えることでマウス操作とゲーム操作を使い分けるのですが、このポインティングデバイスがあることで切り替えの手間なくコントローラーとマウスの同時利用が可能になっています。LRボタンはクリアな素材になっておりRGBライティングによりゲーミングらしく光らせることもできます。
裏側のグリップ部分にはマクロキーが左右1つずつ用意されており、専用アプリからキーの割り当てが可能。さらにグリップにはシボ加工がされており、滑りにくい工夫がされています。また吸気口が大きくとられ、冷却性能も期待ができそうです。
 スピーカーはコントローラー下部に搭載されていますが、音質はやや心もとない印象でした。DTS:Xの認定もされていますが、内臓スピーカーでDTSコンテンツを堪能するのは正直難しいです。内臓スピーカーは最低限のものと考え、臨場感や没入感が欲しいときはイヤホンの使用を推奨します。

画面明るさの調整範囲。両端にばらつきはありますが、調整範囲はかなり広い

ディスプレイは6インチのタッチパネル対応で、解像度は1920×1080、アスペクト比は16:9を採用。特筆すべき点はネイティブランドスケープ(横向き)のパネルであること。ゲーミングUMPCの多くはポートレート(縦向き)のパネルを90度回転してランドスケープ表示しており、一部のゲームでは排他的フルスクリーンで表示した時にうまく表示出来なかったり、そもそも起動できないという問題を抱えていました。最近のゲームのほとんどはウィンドウモードやボーダーレスでも表示が可能なので、単にゲームをプレイするだけなら影響は限定的ですが、影響が大きいのはAMDの超解像度技術「Radeon Super Resolution」(RSR)を利用する場合です。RSRは今でこそボーダーレスに対応していますが、もともとは排他的フルスクリーンでしか動作しない機能だったため、未だに排他的フルスクリーン以外ではうまく有効化できないゲームが有名タイトルにも存在します。性能が限られたゲーミングUMPCではRSRを活用してフレームレートを伸ばしたいと考えている人も少なくはないと思いますので、ネイティブランドスケープが採用された「GPD WIN4 2023」はゲームとの相性がいいUMPCと言えます。

光沢パネルのため映り込みはありますが、その分画面の発色がいいのもポイント 。視野角も良好で斜めから見ても色の変化はほとんどありません。輝度は10~594cd/m2と公称値の500nitを大きく超えており、最大輝度が高いため、明るいところで利用しても画面が暗く感じることはありません。最低輝度もしっかりと落とせるため暗い部屋でも眩しく感じることはありませんでした。

6インチという小型のパネルを採用しているため携帯性は抜群です。ただ、どうしても文字は細かくなってしまいますので、ゲームやアプリによってはスケーリングを変更するなど使い方に合わせた調整が必要と感じる場面もありました。特にタッチパネルを使った操作や情報量の多いMMORPGやシミュレーションゲームとの相性はあまりよくありません。キーボードを活用することで乗り切れる場面も多いですが、Windows自体の操作性が小さい画面と相性があまりよくないという印象でした。SteamにはBicPictureモードがありますし、Xboxアプリにもコンパクトモードが実装され徐々に小型の画面でも操作のしやすいUIが浸透してきているように思いますので、UMPC向けのWindowsの登場にも期待したいところです。

左:付属の充電器とケーブル   右:充電器の対応プロトコル
左:付属充電器のPDO   右:実際のネゴシエーション

付属の充電器は65W(20V/3.25A)出力対応のUSB PD 充電器でマルチボルテージ対応。テスターによるプロトコルの確認では3Aまでしか表示されませんでしたが、PDOの通信ログでは20V/3.25Aが確認でき、本体とのネゴシエーションも20V、3.25Aで確立されました。充電時間は2時間40分でした。
PDは相性が出やすいため、20種類程の充電器で充電状態をチェックしましたが、充電器の出力は45W(20V/2.25A)以上を推奨します。それ以下の出力の場合うまくネゴシエーションしなかったり、ネゴシエーションされていても操作をすると充電状態が解除されたりとかなり不安定なものが多かったです。スマホ用の充電器やモバイルバッテリーは出力の低いものが多いですので、充電器選びには注意が必要です。

必要十分なインターフェース + eGPUの性能を最大限引き出すOCuliink搭載

左:上面に電源ボタン、ボリュームボタン、USB4 (Type-C)、OCulink、ヘッドホンマイク兼用端子
右:下面にはUSB3.1 (Type-C)
左:左側面にmicroSDカードスロット、コントローラーモード変更スイッチ
右:右側面にはReset

つぎにインターフェース周り。本体の上面に電源ボタン、ボリュームボタン、USB4 (Type-C)、OCulink(SFF-8612)、ヘッドホンマイク兼用端子を搭載。下面には USB3.2 Gen2 (Type-C)を、左側面にはmicroSDカードスロットとコントローラー・マウス切り替えスイッチを、右側面にはBIOSリセットボタンを搭載しています。USBは2つ搭載されており、ともに映像出力にも対応していますので、充電しながら映像出力をするといった使い方も可能です。USB4ポートはThunderboltにも対応したものになっていますので、外付けのGPUBOXや多機能なドッキングステーションを接続することも可能です。側面に搭載の切り替えスイッチでソフトウェア切り替えよりもスムーズな切り替えが可能な上、さらに光学式のポインティングデバイスを搭載していることで、通常のマウス操作であれば切り替えの必要すらありません。

前モデル(GPD WIN4)と比較するとUSB Type-AがOCulinkに置き換わっています。OCulinkはあまり馴染みのない規格ですが、GPD独自の規格ではなく、PCI-SIGが策定したPCI Expressの内部配線用の正式な規格です。本機に搭載のOCulinkはPCIe 4.0×4に対応しUSB4の40Gbpsを上回る最大64GT/sで通信可能。GPDからもこのOCulinkを活用できる外付けGPU「GPD G1」も発売されていますので、これらを組み合わせることで、外ではポータブルなゲーミングUMPCとして、家ではゲーミングデスクトップPCに匹敵するUMPCとして使用できるというのが現在のGPDの製品コンセプトのようです。

ただ少し気がかりなところもあります。それは本機の売りの1つともいえるOCulinkが画面のスライド時に干渉してしまうこと。OCulinkには抜け防止のラッチがあるのですが、ケーブルのロック解除ボタンと画面のスライド機構が干渉してしまいケーブルを挿した状態では画面が途中までしか開けなくなります。画面を閉じた状態で使うなら問題ありませんが、本機の売りの一つであるキーボードが使えなくなってしまいます。画面に上手いこと力をかければなんとか開くこともできますが、無理な力をかける必要があるので推奨はしません。画面を開いた状態で装着することはできますが、画面を閉じてしまうと一度ケーブルを外さないと画面を再び開くことができません。OCulinkはホットスワップ非対応のため挿し直すためには電源を切る必要があり、かなり面倒です。あとわずかに隙間があれば、もしくはコネクタの向きが180度逆であればこのような問題はなかったと思いますので、せっかくのOCulinkによって製品の機能が制限されてしまうことにもどかしさを感じました 。またOCulinkはネイティブなPCIe信号が通せるので夢の広がる規格ではありますが、現在はeGPUくらいしか対応機種がないため必要となる場面がかなり限定されています。USB Type-AはType-Cから変換すればいいと言えばそうなのですが、利便性という意味ではUSB Type-Aに分があります。これだけコンパクトで詰め込まれた製品にこういったことをいうのは野暮だとは思いますが、どうにかしてType-Aを残しつつOCulinkを増設という形で搭載して欲しかったというのが本音です。

ジャイロスコープ設定アプリ「MotionAssistant」
ジャイロスコープ設定アプリ「WinControls」

ゲーミングUMPCにはPCの設定を変更できる管理コンソールがプリインストールされていることが多いですが、GPD WIN4 2023にも2種類のアプリがインストールされています。
1つ目は「MotionAssistant」
主な機能はジャイロスコープの設定なのですが、TDPやファンの調整機能も備わっています。
2つ目は「WinControls」
こちらではコントローラーの割り当てやRGBの設定が可能です。
ただ他メーカーの管理コンソールと比べると機能は少なく、コントローラーで操作できないなど不便な点が目立ちました。
サードパーティ製のPowerControlPanelやHandheldControlPanelといった管理コンソールを使用して補うのがいいかもしれません。

一世代前のデスクトップCPUに匹敵するCPU性能

「HWiNFO64」で確認したサマリー。CPUは6コア/12スレッドのRyzen5 7640Uを搭載

そして性能評価。
「GPD WIN4 2023」に搭載されているRyzen5 7640UはZen4アーキテクチャのモバイル向けCPU。6コア/12スレッドで、動作周波数は3.5GHz (最大4.9GHz)、TDPは4~30+Wとなっています。内蔵GPUは Radeon 760M が搭載され、最新のAV1をはじめ、VP9やH.264、H.265/HEVCといった現在主流の主要なビデオコーデックはすべてサポートしています。
メモリー容量は16GBで、製品ページによるとLPDDR5X-7500となっていますが、初期設定ではLPDDR5-6400に設定されており、7500MT/sで動作させるにはBIOSから設定を変更する必要があります。

今回は製品スペックとして記載されている7500MT/sの設定でTDP30WとTDPを15Wに制限した時の2通りでベンチマークを測定しました。

CINEBENCH R23の結果。左:30W、右:15W

 まずはCPUの性能から見てみましょう。定番の「CINEBENCH R23」のスコアはシングルが1614pts、マルチが10338ptsという結果になりました。シングルもマルチも一昔前のデスクトップCPUに迫るスコアが出ており、モバイルプロセッサーの凄まじい進化を感じます。TDPを15Wに制限した場合、マルチのスコアは3割ほど落ちていますが、シングルのスコアは大きく落ち込むことはありません。

PCMark 10の結果

続いてパソコンの総合的なパフォーマンスを見る「PCMark 10」。
まずTDP30Wですが、総合スコアは「6727」という結果になりました。細かく見てみると日常作業の性能を表すEssentialsが「10560」、ビジネスの生産性を表すProductivityが「9988」、クリエイティブ性能を表すDigital Content Creationが「7833」となっています。スコアの基準は、一般的なPC向け:Essentialsが4100以上で快適、オフィス業務や簡単なメディアコンテンツ制作向け:Productivityが4500以上で快適、デジタルコンテンツ編集向け:Digital Content Creationが3450以上で快適です。

Ryzen7 7640Uはスコアの一番低いVideo Editing Scoreでも6134でしたので、あらゆる用途を快適にこなせる性能を持ち合わせているCPUということがわかります。GPUは内臓グラフィックスですが3D性能は内臓グラフィックスとしてはかなり高いため、Rendering and Visualization Scoreの項目も基準の倍以上のスコアが出ていました。

TDP15Wでは総合スコアは「6240」という結果になりました。こちらも細かく見てみると日常作業の性能を表すEssentialsが「10221」、ビジネスの生産性を表すProductivityが「10025」、クリエイティブ性能を表すDigital Content Creationが「6434」となっています。全体的にスコアは落ちていますが、減少幅の傾向は作業内容によって変わります。クリエータータスクでは最大3割ほど性能低下がみられますが、それ以外では1割以内の性能低下に収まっています。そのため普段使いであれば15Wに制限しても体感速度はほとんど変化せず稼働時間を伸ばすことができそうです。一方で写真編集や3Dレンダリングなどではそれなりの差が出ていますので作業内容に応じてTDPを切り替えるのがいいのではないでしょうか。

「CrystalDiskInfo」のストレージ情報。PCIe4.0×4接続の512GB SSDが搭載されている
「CrystalDiskMark」ではシーケンシャルリードが最大5GB/s越えと高速なストレージを採用

ストレージはPCIe4.0×4接続の512GBのSSD(WD製のSN740)が搭載されていました。ストレージ性能をみるために「CrystalDiskMark」を測定しましたが、シーケンシャルリードが最大5GB/s越え、シーケンシャルライトは最大4GB/s越えと規格の上限までは出ていませんが、十分高速なSSDが採用されていることがわかります。大きなファイルでランダムアクセス速度の低下がみられますが、そもそも容量が512GBと小さく、あまり大きなファイルを扱うことはないのではないでしょうか。

「SanDisk Extreme 256GB」で測定。左:内臓カードリーダー。右:USB3.1カードリーダー「DDREADER-55」。
内臓カードリーダーではシーケンシャルの速度が落ちているが、規格上の速度は概ね出ている。

本体にはmicroSDカードリーダーが内蔵されていますので、こちらの性能も手持ちのmicroSD(SanDisk Extreme 256GB)で測定してみました。USB3.1接続のカードリーダーと比較してもしっかりと性能が出ているため、本体内蔵のカードリーダーもDDR200という特殊な転送モードに対応している高速なカードリーダーということがわかります。現在販売中のmicroSDはこのDDR200という転送モードに対応したものが一般的になっていますが、カードリーダー側は非対応のものがまだまだ多い状態です。UMPCも例にもれず非対応のものが一般的ですが、GPD WIN4 2023であればmicroSDの性能をしっかりと発揮できます。ただしUHS-Ⅱ(最大300MB/s)には対応していないことは留意してください。

AAAタイトルもプレイ可能な高性能なグラフィックス

「HWiNFO64」で確認したサマリー。GPUは8CU,512SPのRadeon 760Mを搭載

内蔵GPUはRDNA3世代のAMD Radeon 760Mが搭載され、最新のAV1をはじめ、VP9やH.264、H.265/HEVCといった現在主流の主要なビデオコーデックはすべてサポートしています。YouTubeなどの動画ストリーミングや4K動画の再生も問題なく快適に視聴可能ですし、写真編集や動画編集なども問題なくこなせます。

GPD WIN4 2023はゲーミング機ですので3Dの性能を見るために様々なベンチマークを測定しました。使用したソフトは「3DMARK」「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」「ファイナルファンタジーⅩⅣ 暁月の終焉」「ファイナルファンタジーⅩⅤ」「BLUE PROTOCOL」で、こちらもTDP別に30Wと15Wで測定しました。

3DMARKの結果

まずは3DMARK。ディスクリートGPUのエントリーモデルに迫る性能が出ており、CPUに内臓GPUとしてはかなり良好なパフォーマンスを発揮しています。TDPを約半分に絞っても性能低下は2~3割ほどで、性能が半分になるわけではありません。TDPを絞ることで少し性能は落ちてしまいますが、電力効率を改善し稼働時間を伸ばすことができます。ただし、フレームレートが落ちてカクついてしまっては意味がありません。そのため3DMARKで測定できるゲームの予測フレームレートも表にしてみました。

3DMARKによる各ゲームのフレームレート予測(各項目の平均FPS)

一部フレームレート予測が正しく出力されなかったテストがありましたので、それ以外のテストの平均をまとめてあります。GTA5やフォートナイトのような設定を落とすと軽くできるゲームではTDPを15Wに絞ってもフレームレートに大きな差はみられず快適にプレイすることが可能ですね。エーペックスレジェンズもプレイするには十分なフレームレートが維持できています。バトルフィールド5ではフレームレートの差が大きく、25%もフレームレートが下がっています。ただどちらも30~60フレームの間で、体感差はあるとは思いますが、この場合は30フレームに固定するほうが快適になると思いますので差はないととらえることもできます。最後にRDR2ですが、TDP15Wでは30フレームを切っていますのでTDPを絞ってプレイするのは少し厳しい印象です。
このようにTDP変更による体感差はゲームによって変わってきますので、どの程度TDPを絞っても大丈夫なのかはぜひご自身でプレイしてみて、バランスのいい設定を見つけてみてください。あくまでこれらの結果は予測平均フレームレートですので、フレームレートの落ち込みを減らす目的で常にフルパワーでプレイするのも一つの楽しみ方です。

「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」のフルHD画質、最高品質での結果。左:30W、右:15W
「ファイナルファンタジーⅩⅣ 暁月の終焉」のHD画質での結果。左:30W、右:15W
「ファイナルファンタジーⅩⅣ 暁月の終焉」のフルHD画質での結果。左:30W、右:15W
「ファイナルファンタジーⅩⅤ」のHD画質での結果。左:30W、右:15W
「ファイナルファンタジーⅩⅤ」のフルHD画質での結果。左:30W、右:15W
「BLUE PROTOCOL」のHD画質での結果。左:30W、右:15W
「BLUE PROTOCOL」のフルHD画質での結果。左:30W、右:15W

つぎに各種ゲームのベンチマークソフトの結果です。TDP30Wでは、FF15のフルHD高品質とブループロトコルのフルHD中画質以上で「重い」評価になりました。どちらもそれなりに重たいゲームなので本来なら内臓グラフィックでここまで動くこと自体すごいことなのですが、画質設定を絞ればほとんどの設定で快適~普通にゲームができます。GPU性能はゲームをするのに十分な性能を持っていると言えますね。他のゲームでも概ねHDでは快適に、フルHDでも普通にプレイすることが可能です。最高設定でサクサク!や高FPSでランキング上位目指すぞ!といった感じではありませんが、内臓グラフィックでここまでゲームが動けば十分すぎるレベルではないでしょうか。

TDP15Wにするとさすがに重ためのゲームでは厳しい印象を受けますが、FF14クラスであればフルHD最高設定でも普通にプレイ可能のようです。30Wと比較するとゲームによってばらつきがありますが、ドラゴンクエストXとFF14では約15%の低下、FF15では約20%の低下、BLUE PROTOCOLでは30%近く落ち込んでいます。先ほどの3DMARKの結果同様、TDP変更による体感差はゲームによって大きく変わってくるようです。

消費電力と温度

消費電力の測定にはUSBチェッカーを用いて、実際の消費電力を測定

最後に動作中の消費電力と温度を測定してみました。消費電力はスリープ時で約2W、アイドル時(JEITA 測定法 3.0 準拠)で約5.5W、4K動画視聴時(JEITA 測定法 3.0 準拠)で9~10W、CINEBENCH R23等ベンチマークソフト実行中で最大40Wとなりました。Ryzen5 7640Uは標準TDP28WのCPUですので超低電力というわけではありませんが、ゲームがしっかり動くゲーミングノートとなるとエントリーモデルでも100Wほどありますので、それに迫る性能をこの消費電力で実現できると考えるとかなり省電力なパソコンと言えます。TDPを絞ればさらに消費電力を下げることができますので、PCゲームをやりたいけど電気代も抑えたいという方にもおすすめしたい1台です。

サーモグラフィによる温度測定。TDP30WでCINEBENCH R23実行時
サーモグラフィによる温度測定。TDP15WでCINEBENCH R23実行時。

また動作中の温度も気になるところ。室温26度の環境下で「HWiNFO64」によるCPU温度のモニタリングとサーモグラフィによる表面温度の測定をしてみました。
CPU温度はアイドル時で約38~40度、4K動画再生時は約41度、ベンチマーク実時はTDP30Wで約73度、TDP15Wで約52度としっかりと動作温度を抑えることができています。本体表面もベンチマーク実行中でも液晶面が40度弱、背面も30度台をキープ。一番温度の高くなる排気口周囲でも45度ほどと、Ryzen5 7640UのTDPを考えるとしっかりと冷やせていると思います。ただし多くの機能がコンパクトに凝縮されている分コントローラー部分がほんのり温かくなってしまいます。大型のハンドヘルド機は発熱が液晶部分に収まり、コントローラー部分はほとんど発熱しないのですが、GPD WIN4 2023ではコントローラー部分、特に右のコントローラーが発熱します。左のコントローラー部分もMicroSDスロットがあるためゲームをMicroSDに入れて読み書きをしていると左も発熱を感じました。どちらも温かいという感じで熱いと感じるレベルではありませんが、夏場の長時間の使用や手汗をかきやすい方は注意が必要です。
また冷却性能が高い分ファンの動作音はあります。この製品の場合手に持って使うことが多いと思いますが、その使用スタイルではどうしても一般的なノートパソコンよりも本体までの距離が近くなります。動作音自体は一般的なノートパソコンより少し大きく、ゲーミングノートよりはかなり小さいといった印象ですが、本体までの距離が近い分大きく感じました。動作温度はしっかり押さえられていますので、動作音を静かにしたい場合は、プリインストールされている「Motion Assist」でファンの回転制御を試すといいかもしれません。
ストレージ温度はアイドル時は49度でしたが、「CrystalDiskMark」実行中は最大96度とかなり発熱していました。一般的にSSDはサーマルスロットリングが働きここまで高温になることはないのですが、本機に搭載のSSDではサーマルスロットリングが働いていないようです。分解して検証したわけではないので、SSD自体の発熱が大きいのか放熱がうまくいっていないのかは分かりませんが、ストレージの大きなモデルではSN580という別のSSDが搭載されているようですので、モデルやロットによっては異なる可能性は高いです。このモデルに限って言うと、ストレージ容量が大きくないのが幸いして大容量の書き込みをすることはほとんどないと思いますが、連続書き込み等では少し不安を覚える温度となっています。

ガジェットとして楽しいだけでなく、所有感を満たしてくれる1台

GPD WIN4 2023

「GPD WIN4 2023」はゲーム機の見た目をそのままにパソコンをうまく融合した1台です。
多くのメーカーからた様々なゲーミングUMPCが発売していますが、キーボード付きといえばやはりGPD。キーボードの有無はパソコンとしての操作性やゲーム体験を大きく左右します。キーボードが必要な場面で受ける恩恵を考えると、画面やキーボードの小ささなんて些細な問題。それよりもこれだけの機能をこのコンパクトな筐体に詰め込めたことに対する驚きと魅力が大きいです。一度キーボード付きのUMPCに慣れちゃうとキーボードなしには戻れないかも・・・。GPD WIN4はそう思わせるほど魅力の詰まった1台でした。
コンパクトながらバッテリー駆動時間もJEITA 測定法 3.0 準拠のテストで動画再生時約6.6時間、アイドル時約10.7時間と、サイズを考えると十分な長さの動作が可能です。持ち運びしやすいサイズ、ゲーム性能、PCとしての操作性。全てにおいて満足度の高い製品と感じました。懐かしのゲーム機で最新ゲームも遊べちゃう夢のようなゲームライフが過ごせること間違いなし!
みなさんもゲーミングUMPCで快適なゲームライフを送ってみませんか?

Amazonリンク
現在はWin4 2025になってます。  https://amzn.to/4fA908K
現在はWin4 2025になってます。  https://amzn.to/4fA908K

スポンサーリンク

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUT ME
AMaGi
AMaGi
パソコン組んだりまったりゲームするのが好きです☆
わたしが気になった事をとことん検証・紹介していきます(`・ω・´) みんなも私のようにパソコンを好きになってもらいたい! パソコンの事をもっともっと知ってもらいたいと願っています! ツイッターもやっているのでフォローよろしくお願いします☆

コメント

記事URLをコピーしました