CPUクーラー

パソコン検証編Part.3-4「CPUクーラー検証レビュー 風魔2 SCFM-2000」後編

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今回はSCYTHEの風魔2後編です。
前編では装着や干渉についてみてきましたので後編でテスト結果をみていきます。

風魔2前編
パソコン検証編Part.3-4「CPUクーラー検証レビュー 風魔2 SCFM-2000」前編
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検証PC構成やテストの流れについて
パソコン検証編Part.3-0「CPUクーラー検証レビュー 導入」
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標準の電力制限でのテスト

ここからは温度を見ていきましょう。
最初にお詫びです。

前編でマザーボードのヒートシンクとの干渉についてお話ししましたが、検証環境のマザーボード【ASUS ROG STRIX Z590-F GAMING WIFI】と見事に干渉してしまいました・・
動画・記事では4番目の紹介ですが、検証段階ではもうすでに20個ほど検証した後だったため、マザーボードだけMSIのMEG Z490 UNIFYに入れ替えて検証しています。電力制限などマザーボードの設定はできるだけ同じように設定しましたが、マザーボードのCPU温度管理が根本的に異なっていたためCPU温度が90℃を超えないような設定を追加しています。そのためほかのCPUクーラーとは単純な数値の比較はできません。検証環境が変わってしまい申し訳ありませんが、ご理解いただきますようよろしくお願いいたします。

まずは標準の電力制限でのテストから。このテストはあまり言うこともないのでパパっと見てきます。トリプルファン構成も検証したのでそれぞれ紹介していきます。(オフセット構造でメモリーとの干渉がありませんのでシングル構成は検証していません)

デュアルファン アイドル

まずは標準構成から。ファンの回転数はマザーボードの自動制御で、このような設定になっています。
10分間のアイドルテストではこのような結果になりました。中央値で消費電力は17.0W、FAN回転数は404RPM、CPU温度は41℃となりました。

デュアルファン Cinebench R23

つぎにCinebnchR23を1周回したときの結果です。負荷がかかっているときの平均値で消費電力は174.0W、FAN回転数は1004RPM、CPU温度は74.3℃となりました。Tauが56sで設定しても56sにならない症状はこのマザーボードでも同じでしたので、消費電力がきれいな2段階のグラフになっています。このことからサーマルスロットリングは起こっていないことが分かります。今回のテストでは36sほどでPL1に切り替わっていますので本来の56sでも耐えれそうな雰囲気はあります。一応スコアはこんな感じでした。

デュアルファン FF15

つぎはFF15ベンチです。負荷がかかっているときの平均値で消費電力は120W、FAN回転数は924RPM、CPU温度は69.1℃となりました。ゲームではこのグラフのようにデータ読み込み時など一時的に消費電力が上がることはあるものの高負荷な状態が続くことはめずらしいです。ベンチ台でのテストのためグラボの排熱の影響が少ないということもありますが、十分問題なく冷却できていると思います。グラフにはGPU温度も載せてありますが、平均値で67.8℃。
そして負荷が高くなる戦闘シーン以降の騒音値も測りました。こちらはランダムのタイミングで12回測定した平均値になりますが40.6dBとなりました。

トリプルファン アイドル

つぎにトリプルファン。ファンの回転数はマザーボードの自動制御で、このような設定になっています。
10分間のアイドルテストではこのような結果になりました。中央値で消費電力は17.0W、FAN回転数は354RPM、CPU温度は40℃となりました。

トリプルファン Cinebench R23

つぎにCinebnchR23を1周回したときの結果です。負荷がかかっているときの平均値で消費電力は188.5W、FAN回転数は1018RPM、CPU温度は76.1℃となりました。CPUの平均温度は通常構成より上がっていますが、これはトリプルファンのテストではPL2の時間がかなり長く続いたためです。そのため平均で見ると消費電力も温度も上がってしまうという結果になりました。最高温度で見ると通常構成は88℃なのに対し、トリプルファンでは86℃でしたので、ファン増設による効果がないわけではありません。(Tauが安定しないのなんとかならないかなぁ・・。)一応スコアはこんな感じでした。

トリプルファン FF15

つぎはFF15ベンチです。負荷がかかっているときの平均値で消費電力は112.7W、FAN回転数は866RPM、CPU温度は66.2℃となりました。標準構成の時よりCPU温度が低くなっていますが、消費電力も若干低いのでなんとも判断がしにくいです。GPU温度は平均値で68.0℃、騒音値は12回の平均値で40.6dBとほとんど変化はありませんでした。スコアはこんな感じです。

TDPごとのテスト

そしていよいよTDPごとのテストです。ファンの回転数は先ほどと同様マザーボードの自動制御です。標準構成・トリプルそれぞれ各TDPの結果を一つのグラフにまとめてみました。

デュアルファン

まずは標準構成から。約10分間のテストで中央値は消費電力の高い順に89℃、89℃、86℃、81℃、75℃、69℃、62℃、55℃、46℃となりました。225W以上のテストでは電力制限と実際の消費電力に差が生じたため、消費電力の中央値をカッコで記載しています。

また150W以上のテストでは温度のブレが大きくなっていますが消費電力はこのようにどのテストでもほぼ一定です。

250Wと225Wのテストがほぼ同じ結果になっていますが225Wだけではサーマルスロットリングなのか消費電力のブレによるものなのか判断が難しかったため250Wでもテストしました。そしてこの結果から風魔2の冷却性能は215Wということもわかります。ただしこの結果はあくまで今回の検証環境での結果なのでわたしの動画ではCS(CoolingScore)という造語とstandardの頭文字をとってCSsと勝手に呼びますが、風魔2のCSs=215Wです。

トリプルファン

つぎにトリプルファン。中央値は高い順に89℃、89℃、84℃、84℃、78℃、74℃、66℃、60℃、53℃、46℃となりました。先ほどと同様TDPと実際の消費電力に差があるものは実際の消費電力の中央値をカッコで記載しています。トリプルファン構成の冷却性能は227Wのようですね。ファンを追加したものをCS+と勝手に呼びますが、風魔2のCS+=227Wです。
このグラフでも温度の違いは見てとれますが、ちょっとごちゃごちゃしているのでもっとシンプルにすべての中央値だけをプロットしてみました。

そのグラフがこちらです。オレンジの点が標準構成、青い点がトリプルファンの結果です。点線は傾向線で、このグラフではきれいな直線になりました。トリプルファンは全体的に性能向上がみられCSs=215W、CS+=227Wと10W以上差がありますので、トリプルファンの効果は感じられると思います。

FANの回転数を変化させてのテスト

つぎにFANの回転数ごとのテストです。回転数はマザーボードのユーティリティで10%ずつ変化させて測定しています。

デュアルファン

まずは標準構成から。先ほどのテストでCSs=215Wということが分かったので、CSsを超える負荷が安定してかけられるTDP250Wで測定しています。どのテストもサーマルスロットリングが働いて消費電力が下がっているため中央値は約10分間のテストの内最後の1分間のみで求めています。中央値は回転数の高い順に214W、213W、211W、203W、194W、181W、163W、139W、109W、80Wとなりました。回転数10%は20%と回転数が変わらなかったため省略しています。
回転数0%の結果をCS₀と呼ぼうと思いますので風魔2のCS₀=80W。また赤い点線でnoctuaのFANデュアル構成に交換した時の性能を入れてありますが、CSM (CSMax)と呼ぼうと思いますので、風魔2のCSM=233Wとなりました。CSMとCSsの差がそれなりにあるためヒートシンクの性能を付属のファンでは引き出せていない感じがあります。付属ファンは1200RPMとCPUクーラーとしては低回転のため足を引っ張ているのかもしれません。

トリプルファン

つぎにトリプルファン構成。CS+=227WだったのでCS+を超える負荷が安定してかけられるTDP275Wで測定しています。中央値は回転数の高い順に226W、225W、220W、214W、206W、197W、180W、159W、125W、80Wとなりました。赤い点線は先ほどと同じでCSM=233Wです。トリプルファンでは上のほうが重なってきていますね。CSMとの差は縮まりましたが、それでもまだ7Wの差がありますのでやはりヒートシンクに対してファンの性能が不足している感じがいなめません。

回転数ごとの結果もそれぞれの中央値だけプロットしてみました。傾向線が緩やかなカーブを描いていますね。この傾向線を見るに回転数に応じて性能は上がっていますが、回転数が高くなるにつれてほぼ平らなグラフになっています。また傾向線どうしの差が一番大きいのは30%あたりですので回転数が高いときより低い時のほうがファン増設の恩恵が大きいこともわかりますね。

そしてファンの性能もグラフにしてみました。まずは回転数ごとの風量と騒音値のグラフです。風量の傾向線は緩やかな曲線を描いていますね。標準構成とトリプルファンで回転数が若干違うため傾向線がややずれていますが差は2%くらいなので誤差の範囲内かなと思います。ファンを増設したのに風量は増えないの?って思う方もいると思いますが、CPUクーラーの場合ファンが直列に配置しているためファンが何個になっても風量は増えません。直列にファンを増やした場合に増えるのは風量ではなく静圧です。静圧に関しては測定の仕方が分からなかったため申し訳ありませんが省かせていただきます。

騒音値は環境音以下が測定できないので傾向線はありませんが、なんとなくこんなカーブを描いているんじゃないでしょうか。騒音値は回転数が高くなるとかなりの角度で上昇していくのが予測できますね。

ここでちょっとFF15ベンチのテスト結果の話に戻ります。FF15ベンチでは騒音値が40dBを超えていたのですが、ベンチ中のCPUクーラーの回転数を考えると騒音値は最大でも35dB以下だったことがこのグラフからわかります。つまりゲーム中の騒音値はCPUクーラーの騒音値ではなく、ほぼグラボの騒音値によるものだったということになります。

話を元に戻しますが、このグラフの結果を風量と騒音値を軸にプロットしたグラフがこちらです。このグラフのほうが風量の増加に対し騒音値の増加が顕著に高くなるのが分かりますね。

さらに騒音値を回転数別の冷却性能と照らし合わせたグラフがこちら。これを見てもやはりファンの回転数による性能上昇より騒音値の上昇が目立ちますね。わたし個人の感覚ですがこの環境音に対し+2dB程度(36dB未満)であれば気にならないレベル、+4dB(38dB)を超えてくるとなんかパソコン頑張ってるなぁって感じるレベルですので、標準構成では回転数を90%以下に抑えるといいんじゃないかなと思います。わたしの動画では36dBを切るもっともいい結果をCSLN(LowNoise)と呼ぶことにしますので、風魔2のCSLN=213Wです。
ファンを増設しても38dB以下なのでうるさいというほどではないですが、こちらも回転数を80%以下に抑えればかなり静かになります。ファンを増設すると性能をあげることができますが、最大のメリットは性能アップではなく性能を維持しながらファンの回転数を落とせること、つまり静穏化です。性能を維持しつつ最大で-2dBほど静穏化ができますので自分の好みにチューニングしてみてください。

FANレスのテスト

そして最後のテスト。TDP65Wでファンレスのテストをやってみました。FAN回転数0%での負荷テストはすでに1つやっていますが、低発熱環境でのどのように推移するのか気になったのでグラフにしました。10分間のテストではサーマルスロットリングはおこらず最高温度は75℃なので余裕がありますね。CS₀=80Wだったのとグラフがほぼ平らになっているので65Wくらいであれば問題なさそうです。ただファンレス用に設計されている製品ではありませんのでその点はご注意ください。このあたりはほかの製品と比較しながらのほうが分かりやすいので詳しくは別の動画で考察します。

以上で結果の紹介は終わりです。

最後に性能をまとめたグラフを1画面にまとめておきましたので、よりじっくり見たい人はこの画面をスクショしておいてください。またCPUの消費電力って普通どれくらいなの?って人向けに各CPUの仕様上のTDPとわたしが実際に測定したことのあるCPUのCinebench実行時の消費電力を一覧にしておきましたので参考にしてください。
そして重要なのはこの結果はあくまで検証環境での結果です。温度は使用パーツや設定、ケースのエアフローなどあらゆることに影響されますので必ずしもこの結果通りになるとは限りません。とくにCPU内部の設計や発熱密度は温度を左右する大きな要因になりますので、ぜひいろんな経験をして最適解を見つけていってください。

まとめ

メリット

デメリット

おすすめ度

AMaGiのおすすめ度は☆2(干渉なしなら☆4)
冷却性能、静音性ともに優秀で、デュアルタワーなのにメモリーとの干渉を心配しなくていいのが大きなメリット。
ただしマザーボードによってはヒートシンクと干渉します。今回干渉したマザーはASUSのROGシリーズなのでヒートシンクが特に大きいシリーズですが、デュアルタワーでも干渉しない製品がちゃんと存在しますのでこれに関しては大きなマイナス点です。ヒートシンクの小さなものを選べば大丈夫ですが、干渉するかどうかを製品画像だけで判断するのはなかなか難しいですのでそれなりにリスクを伴います。干渉のリスクを考慮するとこのような評価かなと思います。
もし確実に干渉しないのが分かっているマザーとの組み合わせであれば☆4かなと思います。
終売しているためもう購入はできませんが、すでに使っている人はマザーボード交換の際にはヒートシンクサイズに注意してください。

ほかにも話したいことはたくさんあったのですが、重要なところを中心にまとめたつもりです。わたし自身なんでこんなに長くなるんだろといつも思っていますが、ほかの製品もこんな感じで徹底的に紹介・検証していきますのでこれからもお付き合いいただけると嬉しいです。
それでは今回の動画はこの辺で終わりたいと思います。

この検証編はわたし個人の考察です。見解は人それぞれですし、用途によって製品に求めるものは変わってきます。いろんな動画やサイトを見て自分にとっての正解を見つけてください。1人2人の意見だけで決めつけるのではなく、たくさんの意見を取り入れていってください。

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パソコン組んだりまったりゲームするのが好きです☆
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