CPUクーラー

パソコン検証編Part.3-11「CPUクーラー検証レビュー NH-D15(NH-D15S)」後編

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今回はNoctua製のNH-D15後編です。
前編では装着や干渉についてみてきましたので後編でテスト結果をみていきます。

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標準の電力制限でのテスト

ここからは温度を見ていきましょう。
まずは標準の電力制限でのテストから。このテストはあまり言うこともないのでパパっと見てきます。シングルファン構成での検証もしたのでそれぞれ紹介していきます。

デュアルファン アイドル

まずは標準構成から。ファンの回転数はマザーボードの自動制御で、このような設定になっています。
10分間のアイドルテストではこのような結果になりました。中央値で消費電力は18.5W、FAN回転数は332RPM、CPU温度は36℃となりました。今回検証機の構成と設定はアイドル時の消費電力が高くなる設定のためやや高めの温度になっています。
(メモリーの設定をXMPからJEDECに変更するのとPCIeのASPMを有効にすると標準レベルの消費電力になります。)

デュアルファン Cinebench R23

つぎにCinebnchR23を1周回したときの結果です。負荷がかかっているときの平均値で消費電力は175.4W、FAN回転数は1003RPM、CPU温度は70.4℃となりました。
消費電力がきれいな2段階のグラフになっており、サーマルスロットリングは起こっていないことがわかりますね。最高温度は86℃でしたので本来の電力制限でも問題ないように思います。一応スコアはこんな感じでした。

デュアルファン FF15

つぎはFF15ベンチです。負荷がかかっているときの平均値で消費電力は70.7W、FAN回転数は538RPM、CPU温度は54.8℃となりました。ゲームではこのグラフのようにデータ読み込み時など一時的に消費電力が上がることはあるものの高負荷な状態が続くことはめずらしいです。
ベンチ台でのテストのためグラボの排熱の影響が少ないということもありますが、十分問題なく冷却できていると思います。
グラフにはGPU温度も載せてありますが、平均値で69.1℃。そして負荷が高くなる戦闘シーン以降の騒音値も測りました。こちらはランダムのタイミングで12回測定した平均値になりますが40.0dBとなりました。スコアはこんな感じです。

シングルファン アイドル

つぎにシングルファン。ファンの回転数はマザーボードの自動制御で、このような設定になっています。
10分間のアイドルテストではこのような結果になりました。中央値で消費電力は24.7W、FAN回転数は340RPM、CPU温度は42℃となりました。

シングルファン CinebenchR23

つぎにCinebnchR23を1周回したときの結果です。負荷がかかっているときの平均値で消費電力は170.6W、FAN回転数は995RPM、CPU温度は71.7℃となりました。
シングルファンでもサーマルスロットリングは起こっておらず最高温度も88℃ですが、標準の電力制限ではギリギリ耐えれなさそうな気がします。一応スコアはこんな感じでした。

シングルファン FF15

つぎはFF15ベンチです。負荷がかかっているときの平均値で消費電力は72.4W、FAN回転数は589RPM、CPU温度は59.1℃となりました。GPU温度は平均値で67.0℃で、騒音値は12回の平均値で39.4dBとなっています。スコアはこんな感じです。

TDPごとのテスト

そしていよいよTDPごとのテストです。ファンの回転数は先ほどと同様マザーボードの自動制御です。標準構成・シングルファンそれぞれ各TDPの結果を一つのグラフにまとめてみました。

デュアルファン

まずは標準構成から約10分間のテストで中央値は消費電力の高い順に89℃、89℃、86.5℃、80℃、77℃、72℃、66℃、60℃、53℃、43℃となりました。200W以上のテストでは電力制限と実際の消費電力に差が生じたため、消費電力の中央値をカッコで記載しています。

また200W以上のテストでは温度のブレが大きくなっていますが消費電力はこのようにどのテストでもほぼ一定です。そしてこの結果からNH-D15の冷却性能は233Wということがわかります。ただしこの結果はあくまで今回の検証環境での結果なのでわたしはCS(CoolingScore)という造語とstandardの頭文字をとってCSsと勝手に呼びますが、NH-D15のCSs=233Wです。

シングルファン

つぎにシングルファン。中央値は高い順に89℃、89℃、88℃、82℃、78℃、74℃、69℃、62℃、55℃、46℃となりました。先ほどと同様TDPと実際の消費電力に差があるものは実際の消費電力の中央値をカッコで記載しています。シングルファン構成の冷却性能は225Wのようですね。ファンを減らしたものをCS-と勝手に呼びますが、NH-D15のCS-=225Wです。
このグラフでも温度の違いは見てとれますが、ちょっとごちゃごちゃしているのでもっとシンプルにすべての中央値だけをプロットしてみました。

そのグラフがこちらです。オレンジの点が標準構成、青い点がシングルファンの結果です。点線は傾向線で、このグラフではきれいな直線になりました。シングルファンは全体的に性能が低下していますが、CSs=233W、CS-=225Wと8Wの差ですので影響は思ったほど大きくないのかなという印象です。

FANの回転数を変化させてのテスト

つぎにFANの回転数ごとのテストです。回転数はマザーボードのユーティリティで10%ずつ変化させて測定しています。

デュアルファン

まずは標準構成から。先ほどのテストでCSs=233Wということが分かったので、CSsを超える負荷が安定してかけられるTDP275Wで測定しています。どのテストもサーマルスロットリングが働いて消費電力が下がっているため中央値は約10分間のテストの内最後の1分間のみで求めています。中央値は回転数の高い順に233W、231W、229W、226W、220W、210W、202W、185W、141W、113W、73Wとなりました。回転数は14%までしか下がらなかったため10%は省略しています。
回転数0%の結果をCS₀と呼ぼうと思いますのでNH-D15のCS₀=73W。また赤い点線でnoctuaのFANデュアル構成に交換した時の性能を入れてありますが、CSM (CSMax)と呼ぼうと思いますので、NH-D15のCSM=230Wとなります。CSsとの差はわずかですね。

シングルファン

つぎにシングルファン構成。CS-=225WだったのでCS-を超える負荷が安定してかけられるTDP275Wで測定しています。中央値は回転数の高い順に225W、222W、218W、211W、204W、194W、177W、157W、115W、91W、73Wとなりました。赤い点線は先ほどと同じでCSM=230Wです。シングルファンではかなりグラフが下にさがりましたね。

回転数ごとの結果もそれぞれの中央値だけプロットしてみました。傾向線が緩やかなカーブを描いていますね。この傾向線を見るに回転数に応じて性能は上がっていますが、回転数が高くなるにつれてほぼ平らなグラフになっています。また傾向線どうしの差は回転数が低いほど大きいですのでシングルファンでも回転数を維持すれば性能への影響は少なくできます。

そしてファンの性能もグラフにしてみました。まずは回転数ごとの風量と騒音値のグラフです。風量の傾向線は直線になりました。標準構成とトリプルファンで回転数が若干違うため傾向線がややずれていますが差は2%以下なので誤差の範囲内かなと思います。
ファンの数が違うのに風量は増えないの?って思う方もいると思いますが、CPUクーラーの場合ファンが直列に配置しているためファンが何個になっても風量は増えません。直列にファンを増やした場合に増えるのは風量ではなく静圧です。静圧に関しては測定の仕方が分からなかったため申し訳ありませんが省かせていただきます。
騒音値は環境音以下が測定できないので傾向線はありませんが、回転数に対し指数関数的に増加しているのがわかりますね。

ここでちょっとFF15ベンチのテスト結果の話に戻ります。FF15ベンチでは騒音値が40dBほどだったのですが、ベンチ中のCPUクーラーの回転数を考えると騒音値は最大でも34dBほどだったことがこのグラフからわかります。つまりゲーム中の騒音値はCPUクーラーの騒音値ではなく、ほぼグラボの騒音値によるものだったということになります。

話を元に戻しますが、このグラフの結果を風量と騒音値を軸にプロットしたグラフがこちらです。このグラフのほうが風量の増加に対し騒音値の増加が顕著に高くなるのが分かりますね。

さらに騒音値を回転数別の冷却性能と照らし合わせたグラフがこちら。これを見てもやはりファンの回転数による性能上昇より騒音値の上昇が目立ちますね。わたし個人の感覚ですがこの環境音に対し+2dB程度(36dB未満)であれば気にならないレベル、+4dB(38dB)を超えてくるとなんかパソコン頑張ってるなぁって感じるレベルですので、標準構成でファン100%回転時はすこしうるさいです。回転数を90%以下に抑えれば十分静かになりますし、70%まで抑えるとめちゃくちゃ静かになります。わたしは36dBを切るもっともいい結果をCSLN(LowNoise)と呼ぶことにしますので、NH-D15のCSLN=226Wです。

NH-D15にはLNAが付属しており、これを使用すると最大回転数を70%に抑えることができます。延長ケーブルのようにかますだけで簡単に静穏化ができますのでおすすめです。

シングルファンでも100%回転時は36dBを超えてきますのでちょっとだけ動作音が気になります。こちらも回転数を90%に抑えればかなり静かになりますが、CS-=225Wなのに対しCSLN=226Wとほぼ同じ数値ですので、騒音値だけでみると静穏性のためにシングルファンにするのはあまりいい手段とはいえないかもしれませんね。デュアルファンで回転数を抑えるほうがいいかなと思います。ファンの形状が特殊なためシングルファンにして余ったほうをケースのリアファンに使って排気を強化するという使い方も難しいので、干渉を避ける目的以外でシングルにすることはないのかなと思います。
一般的にデュアルタワーのCPUクーラーはシングルファンにすると性能が大きく落ち、デュアルファン構成と比べてメリットが減る傾向にありますが、このNH-D15はシングルでも大きく性能が落ちていないのはいいですね。D15Sもシングルファンの結果と近しいものになると思いますのであとは拡張スロットとの干渉の有無で選ぶといいのかなと思います。

FANレスのテスト

そして最後のテスト。TDP65Wでファンレスのテストをやってみました。FAN回転数0%での負荷テストはすでに1つやっていますが、低発熱環境でのどのように推移するのか気になったのでグラフにしました。10分間のテストではサーマルスロットリングは発生せず、最高温度は78℃でグラフも最後はかなり平らになってきています。CS₀=73Wだったので65Wであればファンレスでも運用できそうです。ただファンレス用に設計されているわけではありませんし、このあたりはほかの製品と比較しながらのほうが分かりやすいので詳しくは別の動画、記事で考察します。
以上で結果の紹介は終わりです。

最後に性能をまとめたグラフを1画面にまとめておきましたので、よりじっくり見たい人はこの画面をスクショしておいてください。またCPUの消費電力って普通どれくらいなの?って人向けに各CPUの仕様上のTDPとわたしが実際に測定したことのあるCPUのCinebench実行時の消費電力を一覧にしておきましたので参考にしてください。
そして重要なのはこの結果はあくまで検証環境での結果です。温度は使用パーツや設定、ケースのエアフローなどあらゆることに影響されますので必ずしもこの結果通りになるとは限りません。とくにCPU内部の設計や発熱密度は温度を左右する大きな要因になりますので、ぜひいろんな経験をして最適解を見つけていってください。

まとめ

メリット

デメリット

おすすめ度

※AMaGiのおすすめ度は☆3
どうしても大型のクーラーのため干渉のリスクはありますが、それとAMDのねじ問題をクリアすれば特に目立った欠点はありません。とにかく性能重視という人にも、静穏性重視の人にもどちらでもおすすめできるすごくいい製品だと思います。
いろんなCPUクーラーを検証して何よりも強く感じたのはNoctuaのファンのクオリティの高さです。100%回転時はすこしうるさいという評価にはなりましたが、ほかの製品によくみられる高回転時の振動もほとんどなく、Noctuaのファンのクオリティの高さが伺えます。
シングルファン構成でもしっかりと性能がでているのは驚きでした。LNAを使えばまったく気にならないレベルの動作音で226Wも冷やせる圧倒的な性能を持っていますのでまだ11製品めですが間違いなく最強の空冷クーラーなんじゃないかなと思います。

評価には値段などいろいろなことを考慮していますのでやはり値段がネックになりますが、ソケット変更時のサポートも手厚いメーカーですので値段に見合った価値のある製品だと思います。本当なら☆4にしたいくらいなのですが、CPUクーラーに1万3千円は高いと思うのが普通の感覚だと思いますし、水冷も視野に入ってくる値段ですのでこのあたりは予算や水冷の好き嫌いによって評価が分かれるところだと思います。ただ少なくとも一番いいクーラーはどこのメーカーかと聞かれれば迷わずNoctua以外ないでしょと言い切れるほどにおすすめです。

商品のリンクを貼っておきますので気になる方は購入して試してみてください。

ほかにも話したいことはたくさんあったのですが、重要なところを中心にまとめたつもりです。ほかの製品もこんな感じで徹底的に紹介・検証していきますのでこれからもお付き合いいただけると嬉しいです。
それでは今回はこの辺で終わりたいと思います。

この検証編はわたし個人の考察です。見解は人それぞれですし、用途によって製品に求めるものは変わってきます。いろんな動画やサイトを見て自分にとっての正解を見つけてください。1人2人の意見だけで決めつけるのではなく、たくさんの意見を取り入れていってください。

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