仕事もプライベートもこれ1台!変幻自在な楽しいガジェット「ONEXPLAYER 2 Pro」
「ONEXPLAYER 2 Pro」は、ハンドヘルド機というコントローラー一体型のゲーム機ライクなUMPC。主なスペックはAMD Ryzen™ 7 7840U、16GB or 32GBメモリー、 AMD Radeon™ 780M 、1TB or 2TBのSSD、OSはWindows 11 Homeを搭載しています。カラーはミッドナイトブラックとスノーホワイトの2モデル。
今回はスノーホワイトのテスト機をお借りしましたので、各種ベンチマークを実施して製品の特長や性能を確認していこうと思います。テスト機のため実際の製品とは仕様や性能が異なる可能性がありますので、その点ご了承ください。
ゲーム機とパソコンの垣根を超えた「5 in 1」パソコン
ハンドヘルド機といわれるゲーム機タイプのPC。Nintendo Switchとも比較
持つとしっくりくるカーブのついたグリップ
本体のみ867g、充電器込みで1106g
コントローラー非装着時729g(サイドカバーあり)、キーボード装着時884g
まずは外観から。「ONEXPLAYER 2 PRO」の本体サイズは、幅約310×奥行き約128×厚さ約22.6~46.7mmで、重量は867g、充電器と合わせると1106gです。867gはゲーム機としては重いですが、パソコンとして考えるとかなり軽量な部類です。以前レビューしたAOKZOE A1 Pro同様、コントローラー部分のグリップがしっかりしているため重量の割には重たくは感じないというのが初めて触った時の印象でした。
ライティングや一部のボタンにアクセントカラーが採用されるなどゲーミングを意識したデザインになっていますが、RGBライティングには対応しておらず、オレンジ色単色に固定。LEDのオンオフのみ可能です。わたしは光らせない派ですが、ゲーミングと考えるとRGBライティングにも対応していたほうがユーザー受けはよかったのでは?と感じます。コントローラーにはXinputのXboxタイプコントローラーが採用され、ほとんどのゲームでキー割り当てを変更することなくプレイ可能です。
裏側にはキックスタンドがついており、別売の専用キーボードや市販のキーボード、マウスと組み合わせることでノートパソコンスタイルでも使用可能です。また吸排気口が大きくとられ、冷却性能に期待ができそうです。
本体下部にはスピーカーが搭載されており、HARMAN AudioEFXによるチューニングが施された大型のスピーカーユニットが採用されています。小型のスピーカーで音量を上げると耳に突き刺さるような音になりますが、本機は音量を大きくしても聞き疲れしにくいのが特徴です。また最大音量はかなり大きく、小型のポータブルスピーカークラスの出力がありましたので、机に置いてみんなで音楽を聴いたり、動画を見たり等の使い方もできます。音量を最大まであげても音割れはなく、箱鳴りもほとんど気になりませんでした。HARMANがチューニングしているだけあって、このあたりまでしっかりと設計されているのはすばらしいですね。
画面明るさの調整範囲。少しばらつきはありますが、調整範囲はかなり広い
ディスプレイは8.4インチのタッチパネル対応で、解像度は2560×1600、アスペクト比は16:10を採用。動画鑑賞や、ウェブブラウジングといった一般的な用途はもちろんのこと、縦に少し長いのでフルHDやWQHDといったアスペクト比16:9のコンテンツを表示しながらタスクバーやメニューバーを表示できるのが特徴です。ポータブルゲーミング機としては大型のパネルを採用しているため映像の迫力があり、細かな文字も見やすいです。光沢パネルのため映り込みはありますが、その分画面の発色がいいのがポイント。視野角も良好で斜めから見ても色の変化はほとんどありません。
輝度は51~459cd/m2と最大輝度が高いため、明るいところで利用しても画面が暗く感じることはありません。最低輝度はやや高く、真っ暗な部屋では少し眩しく感じるかもしれませんが、真っ暗でなければ問題ないレベルです。
左:付属の充電器とケーブル 右:充電器の対応プロトコル
左:付属充電器のPDO 右:実際のネゴシエーション
付属の充電器は100W(20V/5A)出力対応のUSB PD 充電器でマルチボルテージ対応。テスターによるプロトコルの確認では3Aまでしか表示されませんでしたが、PDOの通信ログでは20V/5Aが確認でき、本体とのネゴシエーションも20V、5Aで確立されました。充電時間は2時間40分でした。
PDは相性がでやすいため、20種類程の充電器で充電状態をチェックしましたが、充電器の出力は45W(20V/2.25A)以上を推奨します。それ以下の出力の場合うまくネゴシエーションしなかったり、ネゴシエーションされていても操作をすると充電状態が解除されたりとかなり不安定なものが多かったです。
サイドのコントローラーは取り外し可能
タッチペンが使えるので、イラストや文字がスラスラと描ける
本機の最大の特徴は「5 in 1」スタイル。「ポータブルゲーミングPCスタイル」「UMPCスタイル」「タブレットスタイル」「デスクトップスタイル」「ワイヤレスジョイスティックスタイル」という5つのスタイルに対応しているため、様々な用途に合わせてそれぞれ適した使い方が可能になっています。
ポータブルゲーミングPCはコンパクトで高性能なものが多いので、仕事もプライベートもこれ1台で!と思っても、コントローラーがついていると仕事ではなかなか使いにくい(そもそも認めてもらえない)…となりがちでした。
ONEXPLAYER 2 Proならコントローラーを外して専用キーボード(別売)を取り付けるだけでそのまま仕事用として使うことも可能です。画面の保護も兼ねたカバーキーボードのため、カバーの開閉によるスリープ・スリープ解除にも対応しており、マグネットでの装着のため着脱も容易です。キーボードはテンキーレスの英字配列で、キーピッチ約15mm、キーストロークは約1.8mm。WASDのみオレンジ色のキーが採用されていますが、材質や打鍵感は同じでした。キーピッチが狭く、キー配列が特殊なため慣れは必要かなと思いますが、これに関してはUMPCの宿命ですね。
キーボードが必要ないときはタブレットとしても使用でき、筆圧検知4096段階のペン入力にも対応しているため、手書き入力やイラストを描くといった用途にも活躍できます。一緒に送られてきたペン(別売)はマグネットで本体にくっつくためとても便利でした。
本体をテレビやモニターにつないでデスクトップパソコンのように使用することもできますし、ワイヤレスジョイスティックコネクター(別売)にコントローラーを装着すれば、そのままゲームをプレイすることもできます。コントローラーが変わるとボタン配置の違いによる操作ミスや操作性の違いによるプレイ時のストレスなどにつながりますが、このコネクターを使えば本体のコントローラーをそのまま使えますのでそういったストレスからも解放されます。
ただ個人的にちょっと気になったのはこのワイヤレスジョイスティックコネクターが専用のUSBドングルで無線接続する点。欲を言えばBluetoothなど専用ドングルなしでの無線接続ができるとよかったのと、さらに言うとコントローラー単体でワイヤレス接続に対応して欲しかったというのが本音です。ファンクションキーや通信の安定性の面から専用ドングルでの接続を採用したのだと思いますが、製品コンセプトと実用性に少し齟齬を感じました。このあたりは今後登場する製品に期待したいです。
必要十分なインターフェース
左:上面にmicroSDカードスロット、USB3.0 (Type-A) 、USB4 (Type-C) 、ヘッドホンマイク兼用端子、
Turboボタン、キーボードボタン、HOMEボタン、電源ボタン
右:下面にはマグネットコースター、USB3.2(Type-C)
つぎにインターフェース周り。本体の上面にmicroSDカードスロット、USB3.0 (Type-A) 、USB4 (Type-C) 、ヘッドホンマイク兼用端子、Turboボタン、キーボードボタン、HOMEボタン、電源ボタンを搭載。下面には マグネットコネクター、USB3.2 (Type-C)を搭載しています。USBを3つ備えていますので、ゲーム機としてだけでなくパソコンとして使用した場合も十分な拡張性が確保されています。上下どちらのポートも充電に対応しているため充電ケーブルの取り回しを気にしなくていいのがいいですね。Type-Cポートは映像出力にも対応していますので、充電しながらでも映像出力をしつつ、さらに標準サイズのUSBを接続できます。USB4ポートはThunderboltにも対応したものになっていますので、外付けのGPUBOXや多機能なドッキングステーションを接続することも可能です。
コンパクトな筐体にもかかわらず、ゲーム機としてだけでなくパソコンとして使うことをしっかりと考えられた拡張性を備えているのは評価すべきところではないでしょうか。専用のキーボードを装着すると下面のUSBポートが使えなくなりますので、そこだけは注意が必要です。
画面周囲にファンクションキーを搭載(画面左右のボタン)
ONEXPLAYER専用の管理コンソール「OneXConsole」では細かな調整が可能
前述の本体上面のファンクションキー以外にも画面の周囲にファンクションキーがいくつか搭載されており、様々な機能が割り当てられています。
詳しくは公式ホームページから確認してもらいたいのですが、ソフトウェアキーボードの呼び出しやコントローラーをマウスとして使用できるモードへの切り替え、「OneXConsole」という管理コンソールの起動、ゲームライブラリの起動、スクリーンショット、ゲームツールの呼び出しなど数多くの便利機能が利用可能です。
OneXConsoleはTDPの変更や、ファンの回転制御、画面解像度の変更、リフレッシュレートの固定、画面輝度や音量の変更、など細かな調整ができる管理コンソールで、必要な機能がコンパクトにまとまっていてとても便利な機能です。用途に合わせた調整が可能ですので、ぜひ自分なりのカスタマイズをしてみてください。
一世代前のデスクトップPCに匹敵するCPU性能
「HWiNFO64」で確認したサマリー。CPUは8コア/16スレッドのRyzen7 7840Uを搭載
そして性能評価。「ONEXPLAYER 2 Pro」に搭載されているRyzen7 7840UはZen4アーキテクチャのモバイル向けCPU。8コア/16スレッドで、動作周波数は3.3GHz (最大5.1GHz)、TDPは4~30Wとなっています。内蔵GPUは Radeon 780M が搭載され、最新のAV1をはじめ、VP9やH.264、H.265/HEVCといった現在主流の主要なビデオコーデックはすべてサポートしています。 性能を見るために標準設定のTDP30WとTDPを15Wに制限した時の2通りでベンチマークを測定しました。
CINEBENCH R23の結果。左:30W、右:15W
まずはCPUの性能から見てみましょう。定番の「CINEBENCH R23」のスコアはシングルが1775pts、マルチが13540ptsという結果になりました。シングルもマルチも一世代前のデスクトップCPUに迫るスコアが出ており、モバイルプロセッサーの凄まじい進化を感じます。TDPを15Wに制限した場合、マルチのスコアは3割以上落ちていますが、シングルのスコアは大きく落ち込むことはありません。
PCMark 10の結果
続いてパソコンの総合的なパフォーマンスを見る「PCMark 10」。まずTDP30Wですが、総合スコアは「6133」という結果になりました。細かく見てみると日常作業の性能を表すEssentialsが「8972」、ビジネスの生産性を表すProductivityが「8461」、クリエイティブ性能を表すDigital Content Creationが「8250」となっています。スコアの基準は、一般的なPC向け:Essentialsが4100以上で快適、オフィス業務や簡単なメディアコンテンツ制作向け:Productivityが4500以上で快適、デジタルコンテンツ編集向け:Digital Content Creationが3450以上で快適です。
Ryzen7 7840Uはスコアの一番低いVideo Editing Scoreでも「5558」でしたので、あらゆる用途を快適にこなせる性能を持ち合わせているCPUということがわかります。GPUは内蔵グラフィックスですが3D性能は内蔵グラフィックスとしてはかなり高いため、Rendering and Visualization Scoreの項目も基準の倍以上のスコアが出ていました。
TDP15Wでは総合スコアは「5644」という結果になりました。こちらも細かく見てみると日常作業の性能を表すEssentialsが「8696」、ビジネスの生産性を表すProductivityが「8166」、クリエイティブ性能を表すDigital Content Creationが「6870」となっています。どの項目もスコアは落ちていますが、減少幅の傾向は作業内容によって変わります。クリエータータスクでは最大3割ほど性能低下がみられますが、それ以外では1割以内の性能低下に収まっています。そのため普段使いであれば15Wに制限しても体感速度はほとんど変化せず稼働時間を伸ばすことができそうです。一方で写真編集や3Dレンダリングなどではそれなりの差が出ていますので作業内容に応じてTDPを切り替えるのがいいのではないでしょうか。
「CrystalDiskInfo」のストレージ情報。テスト機のためかPCIe3.0×4接続の1TB SSDが搭載されている
「CrystalDiskMark」ではランダムリードが高速な結果に
メモリー容量は16GBで、クアッドチャンネルのLPDDR5X-6400でしたが、製品ページによるとLPDDR5X-7500となっているのでお借りした個体と実際の製品では異なる可能性があります。
ストレージはPCIe3.0×4接続の1TBのSSDが搭載されていました。こちらも製品ページではPCIe4.0×4となっているため実際の製品では異なる可能性があります。ストレージ性能をみるために「CrystalDiskMark」を測定しましたが、シーケンシャルリードが約3.5GB/sとPCIe3.0×4のほぼ上限まででています。大きなファイルでは速度の低下がみられるところもありますが、概ね安定した結果になっていると思います。
特に注目したいのはランダムリードで、一般的なSSDは50MB/sくらいのものが多いですが、このSSDは70MB/s弱と高速なSSDであることがわかります。ランダムリードは実際の体感速度に大きく影響する部分ですので、この数値がしっかり出ているのはうれしいですね。
「SanDisk Extreme 256GB」で測定
左:内蔵カードリーダー
右:USB3.1カードリーダー
「DDREADER-55」内蔵カードリーダーではシーケンシャルの速度が落ちているが、規格上の速度は出ている
本体にはmicroSDカードリーダーが内蔵されていますので、こちらの性能も手持ちのmicroSD(SanDisk Extreme 256GB)で測定してみました。USB3.1接続のカードリーダーと比較するとシーケンシャルの速度は落ちていますが、これは外付けのカードリーダーがDDR200という特殊な転送モードに対応しているため、内蔵のカードリーダーが遅いのではなく外付けのカードリーダーが速いだけです。内蔵のカードリーダーでも標準規格のSDR104に対して十分な速度が出ています。カメラからの写真の取り込みにも、本体の追加ストレージとしても快適に使える速度だと思います。また内蔵のカードリーダーはUHS-Ⅱ(最大300MB/s)にも対応していますので、わたしは持っていないため測定できませんでしたが、UHS-Ⅱ対応のmicroSDであればさらに高速な転送が可能です。
AAAタイトルもプレイできる高性能なグラフィックス
「HWiNFO64」で確認したサマリー。GPUは12CU,768SPのRadeon 780Mを搭載
繰り返しになりますが、内蔵GPUはRDNA3世代のAMD Radeon 780Mが搭載され、最新のAV1をはじめ、VP9やH.264、H.265/HEVCといった現在主流のビデオコーデックはすべてサポートしています。YouTubeなどの動画ストリーミングや4K動画の再生も問題なく快適に視聴可能ですし、写真編集や動画編集なども問題なくこなせます。
ONEXPLAYER 2 Proはポータブルゲーミング機ですので3Dの性能を見るために様々なベンチマークを測定しました。使用したソフトは「3DMARK」「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」「ファイナルファンタジー XV(FFXV)」「BLUE PROTOCOL」で、こちらもTDP別に30Wと15Wで測定しました。前述のとおり製品版と一部仕様が異なる可能性がありますのでご了承ください。
3DMARKの結果
まずは3DMARK。ディスクリートGPUのエントリーモデルに迫る性能が出ており、CPUに内蔵のGPUとしては過去最高レベルのパフォーマンスを発揮しています。TDPを半分に絞っても性能低下は2~3割ほどで、性能が半分になるわけではありません。TDPを絞ることで少し性能は落ちてしまいますが、電力効率を改善し稼働時間を伸ばすことができます。ただし、フレームレートが落ちてカクついてしまっては意味がありません。そのため3DMARKで測定できるゲームの予測フレームレートも表にしてみました。
3DMARKによる各ゲームのフレームレート予測(各項目の平均FPS)
一部フレームレート予測が正しく出力されなかったテストがありましたので、それ以外のテストの平均をまとめてあります。GTA5(グランド・セフト・オートV)やフォートナイトのような設定を落とすと軽くできるゲームではTDPを15Wに絞ってもフレームレートに大きな差はみられず快適にプレイすることが可能ですね。
エーペックスレジェンズでは15W時にギリギリ60フレームを超えましたが、この結果はあくまで平均フレームレートですので、TDPにより快適さが大きく変わってくるのではないでしょうか。バトルフィールドVも30W時にギリギリ60フレームを超えていますので体感差は若干あると思いますが、この場合はどちらも30フレームに固定するほうが快適になると思いますので大きな差はないととらえることもできます。最後にRDR2。TDP15Wではなんとか30フレームを上回っていますが、重たいゲームでは15Wは厳しい印象を受けます。
このようにTDP変更による体感差はゲームによって変わってきますので、どの程度TDPを絞っても大丈夫なのかはぜひご自身でプレイしてみて、バランスのいい設定を見つけてみてください。あくまでこれらの結果は予測平均フレームレートですので、フレームレートの落ち込みを減らす目的で常にフルパワーでプレイするのも一つの楽しみ方です。
「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」のフルHD画質、最高品質での結果。左:30W 右:15W
「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」のHD画質での結果。左:30W 右:15W
「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」のフルHD画質での結果。左:30W 右:15W
「ファイナルファンタジー XV」のHD画質での結果。左:30W 右:15W
「ファイナルファンタジー XV」のフルHD画質での結果。左:30W 右:15W
「BLUE PROTOCOL」のHD画質での結果。左:30W 右:15W
「BLUE PROTOCOL」のフルHD画質での結果。左:30W 右:15W
つぎに各種ゲームのベンチマークソフトの結果です。
まず初めに断っておきますがドラクエ10の結果が本来期待される数値よりもかなり低い結果になっています。動作中の負荷や結果から予測するとフルHDフルスクリーンの設定でベンチマーク測定したものの、パネル解像度の2560×1600で測定されているように感じました。いろいろ探ってみましたが原因はわからず、モニター側の解像度を変更してもベンチマーク側の設定を変更しても結果はほとんど変化がありませんでしたので正しく測定できていない可能性が高いです。ご了承ください。
TDP30Wでは、ファイナルファンタジー XVのフルHD高品質のみ「やや重い」評価になりました。最新のゲームというわけではありませんが、それなりに重たいゲームです。それでもほとんどの設定で快適~普通にゲームができますので、GPU性能はゲームをするのに十分な性能を持っていると言えます。他のゲームでも概ねHDでは快適に、フルHDでも普通にプレイすることが可能です。最高設定でサクサク!や高FPSでランキング上位目指すぞ!といった感じではありませんが、内蔵グラフィックでここまでゲームが動けば十分すぎる性能だと思います。
TDP15Wにするとさすがにファイナルファンタジー XVの高設定以上では厳しい印象を受けますが、ファイナルファンタジーXIVクラスであればフルHD最高設定でも普通にプレイ可能のようです。スコアで見るとTDP30Wに比べ「ドラゴンクエストX」では約5%、「ファイナルファンタジーXIV」では約10%、「ファイナルファンタジー XV」では約20%、「BLUE PROTOCOL」では30%近く落ち込んでいます。先ほどの3DMARKの結果同様、TDP変更による体感差はゲームによって大きく変わってくるようです。
消費電力と温度
消費電力の測定にはUSBチェッカーを用いて、実際の消費電力を測定
最後に動作中の消費電力と温度を測定してみました。消費電力はスリープ時で約1.6W、アイドル時(JEITA 測定法 3.0 準拠)で約7~8W、4K動画視聴時(JEITA 測定法 3.0 準拠)で9~11W、CINEBENCH R23等ベンチマークソフト実行中で最大45Wとなりました。Ryzen7 7840UはTDP最大30WのCPUですので超低電力というわけではありませんが、ゲームがしっかり動くゲーミングノートとなるとエントリーモデルでも100Wほどありますので、それに迫る性能をこの消費電力で実現できると考えるとかなり省電力なパソコンと言えます。TDPを絞ればさらに消費電力を下げることができますので、PCゲームをやりたいけど電気代も抑えたいという方にもおすすめしたい1台です。
サーモグラフィによる温度測定。TDP30WでCINEBENCH R23実行時
サーモグラフィによる温度測定。TDP15WでCINEBENCH R23実行時
また動作中の温度も気になるところ。室温27度の環境下で「HWiNFO64」によるCPU温度のモニタリングとサーモグラフィによる表面温度の測定をしてみました。
CPU温度はアイドル時で約40~45度、4K動画再生時は約45度、ベンチマーク実行時はTDP30Wで約72~78度、TDP15Wで約55度としっかりと動作温度を抑えることができています。本体表面もベンチマーク実行中でも液晶面が40度強、背面も30度台をキープ。一番温度の高くなる排気口周囲でも50度以下とRyzen7 7840UのTDPを考えるとしっかりと冷やせていると思います。さらに重要なのは発熱している部分が液晶部分に収まっていること。手に持つグリップ部分はほとんど発熱していませんので、長時間ゲームをプレイしても熱く感じることはありません。
ただし冷却性能が高い分ファンの動作音はあります。この製品の場合手に持って使うことが多いと思いますが、その使用スタイルではどうしても一般的なノートパソコンよりも本体までの距離が近くなります。動作音自体は一般的なノートパソコンより少し大きく、ゲーミングノートよりはかなり小さいといった印象ですが、本体までの距離が近い分大きく感じました。動作温度はしっかり押さえられていますので、動作音を静かにしたい場合は管理コンソールからファンの回転制御を試すといいかもしれません。
ストレージ温度もアイドル時で44度、「CrystalDiskMark」実行中でも最大68度とそこまで発熱の大きなSSDではありませんでした。
仕事もプライベートもこれ1台!変幻自在な楽しいガジェット
ONEXPLAYER 2 Pro:32GB/1TB 178,800円~(2023年10月現在)
「ONEXPLAYER 2 Pro」はコントローラーが着脱できるので、職場や学校でも問題なく使用できますし、通勤や通学の合間にはゲームをしたりイラストを描いたりと、仕事もプライベートもこれ1台で完結できます。使用スタイルを変更できるというガジェットとしての魅力も詰め込まれていますので、無難にまとまった機種では味わえない満足感も得られます。
PCゲームができるポータブルゲーミング機といえばSteam Deckが有名ですが、設計思想がゲーム機寄りのためパソコンとして使うにはOSや性能面、拡張性などいろいろと制限を受けてしまいます。「ONEXPLAYER 2 Pro」ならモバイルパソコンとしてもかなり高性能なパソコンですので、STEAM以外にもXBOX Game PassやEpic Gamesといったコンソールや専用ランチャーが必要なゲームをインストールすることも可能ですし、高い性能を活かして外出先で写真や動画の編集、ライブ配信などクリエーターニーズにもこの1台で応えることができます。
以前店舗にお邪魔した際にいろいろな機種を触らせていただきましたが、ONEXPLAYERシリーズ(AOKZOEも同様)はグリップ感が一番よく、手にしっかりフィットするため個人的にはすごく気に入っています。
最初はGPD WIN4という機種に惹かれたのですが、実際に手に取ってみるとなかなか手に馴染まず、ONEXPLAYERの方がしっくりきたので、やはり手に取って使う製品は一度実際に触ってみないとわからないものですね。製品スペックやレビューだけではいまいち見えてこない部分が鮮明になりますので、可能であれば是非お店で触ってみることをおすすめします。
みなさんもポータブルゲーミングPCで快適なゲームライフを送ってみませんか?