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USB Cable Checker 3(UCC3)が届いたのでUSB Cable Checker 2(UCC2)と比較レビュー

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クラウドファンディングで出資していたUSB Cable Checker 3(以下UCC3)が届きました。定番のUSBケーブルチェッカーの新モデルということもあって、発表直後から注目されていた製品です。製造トラブルや配送遅延などがあり当初の予定からは1か月以上遅れての到着となりましたが、ようやく到着したので早速テストしていきます。

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製品仕様と公式ページ

公式HP
USB CABLE CHECKER 3
USB CABLE CHECKER 3
公式HP
USB CABLE CHECKER 2
USB CABLE CHECKER 2

外観

左:UCC3     右:UCC2

まずは外観から。
UCC3とUCC2は外観からは全く異なる製品といった感じです。
UCC2は基盤に小さな液晶とLEDを搭載し、上下をアクリルで挟んだだけというマニアックな製品でしたが、UCC3ではプラスチックのケースに覆われちゃんとした製品になっています。
ブリスターパッケージになっているので家電量販店の店頭にあっても違和感はありません。ただ若干チープ感が否めないですね。
コネクタは時代の流れに合わせてminiBがなくなり、機能面も含めType-Cに特化した製品になっています。

フットプリントは小さくなりましたが、厚みはかなり増えてずんぐりしています。
厚みの原因の1つと思われるのが電池です。UCC2はボタン電池でしたが、UCC3では単4が2本必要となります。液晶の大型化と新機能のためにボタン電池の電力では足りなくなったのだと思いますが、どうせならバッテリー内蔵やType-C給電でも動くようにしてほしかったというのが本音です。

上面に電源ボタン、右側面に機能ボタンがあります。
液晶が大型化したのはうれしいですが、視認性にいくつか問題が…。
まず光沢パネルなこと。液晶部分だけでなく周囲も含め光沢パネルなのですが、反射による映り込みのせいで文字が見づらいです。
そしてバックライト漏れ。常時それなりにバックライト漏れがあり、黒い背景が白っぽいです。そのため文字とのコントラスト比が下がり視認性に悪影響を与えています。
最後に視野角。右斜めからみると真っ白になってしまい、右方向からの視認性がかなり悪いです。
光沢に関しては非光沢の保護フィルムでなんとかできますが、バックライトと視野角に関してはどうしようもないですね。長時間使うものではないので我慢できる範疇ではあります。

デザインに関しては個人的には昔のほうが好みでした。UCC2のほうがいかにも電子工作という感じでわくわく感がありました(一般受けは悪そうだけど)。また厚みがあるとガジェットポーチとかに入れて持ち運びにくくなるので薄いほうがよかったです。

機能

次に機能ですが、UCC3とUCC2に共通の機能は以下の4つ。

①結線状態の確認
②Rp(プルアップ抵抗)/Rd(プルダウン抵抗)の確認
③ケーブル抵抗値の測定
④e-Marker有無の確認

そしてUCC3では次の新機能が追加されています。

⑤e-Marker情報の取得
⑥USB充電器の対応プロトコル検知
⑦USBポートの情報取得

①~⑤はケーブルに関する項目で、⑥と⑦はUSBポート(Source/Sinkやホスト/デバイス)に関する項目となっています。
今回一番の注目は、⑦のUSBポートの情報を取得する機能。USBに関するチェッカーはたくさん存在しますが、充電プロトコルの検知はできてもポート情報を取得できる製品はなかなかありません。

用語解説

USB PD充電
両端がType-Cのケーブルで利用できる高速な充電規格。機器側の対応も必要。
現在240Wまで規格されているが、そこまで対応した製品はまだない。
60Wを超える場合はe-Markerが必要。

Source/Sink ホスト/デバイス
電力を送る側がSource。電力を受ける側がSink。
USBを管理する側がホスト。管理される側がデバイス。

Rp(プルアップ抵抗)とRd(プルダウン抵抗)
Type-Cとそれ以外の旧コネクタの互換性を維持するため、ケーブルに必要となる抵抗。両端がType-Cのケーブルや両端がType-C以外のケーブルでは必要ない。

e-Marker
ケーブルの情報を記録したチップ。両端がType-Cのケーブルで以下のいずれかを満たすときに搭載する必要がある。
①60Wを超える電力に対応するケーブル
②USB3.1以降のフルファンクションケーブル

UCC3ではこれらの機能をオートで実行してくれるのが特徴で、特殊な設定や操作は必要ありません。電源を入れると3つのモードが表示されますが、基本的には一番上のAutoのままで実行できます(AutoではSink portの検出はできません)。残りの2つのモードはAutoでうまく検知できなかった場合に手動でモードを切り替えるための項目です。設定項目も電池の種類だけです。

実際にいろいろな製品でテストしてみましたので、ケーブルチェック(①~⑤)とポートチェック(⑥と⑦)に分けてみていきます。

ケーブルチェック(UCC3、UCC2共通)

ケーブルチェックの手順はA側のポートとB側のポートにチェックしたいケーブルをつなぐだけ。
結線状態、ケーブルタイプ、ケーブル抵抗値、PD対応、Rp/Rd抵抗値、e-Markerの有無が表示されます。UCC2ではシェル-GNDが検知可能でしたが、UCC3ではなくなりました。

UCC3ではe-Markerを検知した場合は表示を切り替えることでe-Marker情報が表示できます。ベンダー名の表示にも対応していますが、Thunderboltには非対応です。

また細かな変更点ですが、UCC3ではTXとRXの±がなくなり統合されたのと、Rp抵抗とRd抵抗のどちらかのみしか表示できなくなりました。
TX/RXは1セットで通信を行うため通信できるかできないかの判断(通信速度の判断)はできますが、断線箇所を洗い出すといった使い方には不向きです。
Rp抵抗とRd抵抗も通常のケーブルでは両方が搭載されることはないので問題ありませんが、規格外のケーブルや変換アダプタを使った場合はケーブルの向きで異なる結果になります。そういったケーブルを洗い出す目的ではUCC2のほうが優れています。

用語解説

VBUS
USBの電力線。必須。
通常は5Vだが、PDでは最大48Vまで対応している。

GND
基準電位。必須。

D+/D-
USB2.0の通信線。480Mbpsで通信可能。

CC(Configuration Channel)
Type-Cケーブルの要。両端がType-Cのケーブルで必須。
表裏の判定やSource/Sink、ホスト/デバイスの判定、e-Markerの確認など様々な用途で使われる。

TX1/RX1 TX2/RX2
USB3.x以降の通信線で数字が同じものがセットで通信する。
どちらか1セットのみの場合はシングルレーン。2セットあるとデュアルレーンとなり速度が倍になる。(Gen2×2の×2の部分)

SBU(Side Band Use)
USBの追加機能。主にalt機能や音声通信に使われる。

Thunderbolt4認証済ケーブル
フル結線のPD100W対応ケーブル。UCCがThuderbolt非対応のためe-MarkerではUSB4 Gen3のみ取得。
モバイルモニター付属ケーブル(仕様記載なし)
フル結線のPD60Wケーブルということが判明(e-Markerなし)
よくあるUSB3.0 A-Cケーブル
シングル結線のUSB3.xケーブル。Rp=56kΩと仕様に遵守。
検証したケーブル

※数が多いので別ページに写真をまとめました。以下のリンクから↓

ケーブルチェック写真集
USB Cable Checker 3(UCC3)が届いたのでUSB Cable Checker 2(UCC2)と比較レビュー【ケーブルチェック写真集】
USB Cable Checker 3(UCC3)が届いたのでUSB Cable Checker 2(UCC2)と比較レビュー【ケーブルチェック写真集】

C-Cケーブル
Thunderbolt4ケーブル、Thunderbolt3ケーブル、USB4 40Gケーブル、USB4 20Gケーブル、フルUSB3.1 Gen2ケーブル、USB3.2 Gen2 10Gケーブル、モバイルモニター付属ケーブル、SSD外付けケース付属ケーブル、USB3.0ケーブル、USB2.0 C-Cケーブル①、USB2.0 C-Cケーブル②、モバイルバッテリー付属ケーブル

その他ケーブル
USB3.0 A-Cケーブル、USB2.0 C- microBケーブル、USB A-Cケーブル、USB2.0 A-microBケーブル

規格内アダプタ
USB3.0 A-Cケーブル+AtoCアダプタ、USB2.0 C-microBケーブル+microBtoCアダプタ

規格外
SSD外付けケース付属ケーブル(付属のCtoAアダプタ使用)、USB3.0 A-Aケーブル+AtoCアダプタ

ポートチェック(UCC3のみ)

ポートチェックの手順はいずれかのポート(A/B問わず)にケーブルをつなぎ、チェックしたいポートと接続するだけ。
パワーロール、最大出力、5Vの電流値、充電プロトコル、DIコマンドのサポート、Altモードの対応が表示されます。PDOを受信した場合やDIコマンドに応答があった場合は表示を切り替えることで各情報を表できます。PDOはSourceとSinkそれぞれで表示できます。
ポートチェックはケーブルの性能にも左右される点と接続するポートに電源がきていないと検出できない点には注意が必要です。
また充電プロトコルはDCP、PD2.0/PD3.0、QC2/QC3、Appleのみの対応で、それ以外の独自規格には対応していません。中華スマホが好きな人は別の製品をおすすめします。

このポートチェックがUCC3の目玉機能なのですが、コマンドに応答があった場合のみ表示されるので、応答がない場合は対応していても表示されません。実際にいろいろ試してみましたが、AltモードもUSBの速度も正しく表示されない製品がかなり多く、残念ながら期待していたほどの実用性はないかもしれません…残念(´・ω・`)

用語解説

Powe role
給電のみの場合Source。受電のみの場合Sink。切り替え可能な場合DRP。

Charger mode
DCPは普通のUSBの急速充電。
QCはAndroidスマホでよく使われていた急速充電。
AppleはAppleデバイスで使われる充電規格。
最近はほぼPDだけでいい感がある。

PDO
PDで対応している電力情報。
Source/Sinkの間でこの情報を交換し適切な組み合わせで充電を行う。
FIXが標準のPD。PPSはより効率よく充電できる拡張規格。
BATやVARも拡張規格だが、あまり一般的ではない。

Anker 100W PD充電器
仕様通り100W(20V5A)に対応。仕様には書かれていませんでしたが、PPSで80Wまで対応していることがわかります。
ノートPC USB4 40G(DP,Thunderbolt対応)ポート
出力が15W、充電は65Wに対応していることがわかります。ただしUSBの仕様やalt機能は正しく取得できませんでした。
iPhone 15
出力が4.5W、充電は47.2W?に対応していることがわかります。USB2.0でalt DP対応と正しく取得できています。
検証したポート

※数が多いので別ページに写真をまとめました。以下のリンクから↓

ポートチェック写真集
USB Cable Checker 3(UCC3)が届いたのでUSB Cable Checker 2(UCC2)と比較レビュー【ポートチェック写真集】
USB Cable Checker 3(UCC3)が届いたのでUSB Cable Checker 2(UCC2)と比較レビュー【ポートチェック写真集】

充電器
Anker100W、Ugreen65W(C+A)、 Anker20W(C+A)、65Wモバイルバッテリー(C×2+A)

PC
ミニPC USB4 40G(DP,Thunderbolt)、ミニPC USB4 40G(DP,Thunderbolt)、ミニPC USB3.2 10G Type-A、ノートPC USB4 40G(DP,Thunderbolt)、ノートPC USB3.2 10G(DP)、 ノートPC USB3.1 5G、ノートPC USB3.1 10G(DP,Thunderbolt)、ノートPC USB3.0 5G、デスクトップPC USB3.2 20G、デスクトップPC USB3.2 10G①、デスクトップPC USB3.2 10G②、デスクトップPC USB3.2 10G Type-A

ガジェット類
iPhone15、Galaxy S21 5G、Xiaomi Mi11Lite、Switch2、モバイルモニター、SSD、イヤホン、DAC.etc

その他気になった点

UCC3は電池持ちが悪いです。使っていると残量がみるみる減っていき、まだ数日使っただけですが、もうすでに電池がなくなりかけています。UCC2は購入してから数年たっていますが、まだ1回しか電池交換していないので、圧倒的に電池持ちが良いですね。UCC3は3分間無操作でオートパワーオフになりますが、ここまで電池持ちが悪いと外部電源で動く機能が欲しかったです。

また電池残量の表示も怪しいです。電源を入れなおすとなぜか残量が増えます。20%くらい増えることがあったり、0%でも動き続けたりと信頼性は低いです。

まとめ

かなり期待が高かったこともあって、個人的には期待が外れてしまいました。
特に視認性の悪さと電池持ちの悪さがこういったツールとしてはかなりマイナスです。これに関しては改善を強く望んでいます。
視認性の改善、電池orバッテリーに加えてType-C給電での動作、表示切替を電源ボタンでひとつ前に戻れる機能の追加、ケースを高級感ある素材に変更などなど、改良版もしくは上位モデルの登場を期待してます!

売りのポートチェックも面白いのですが、正しく検知できないものも多いので実用性はいまいちですし(UCC3の精度が悪いのか、デバイス側の実装が悪いのかはわかりません)、e-Markerの情報を取得できる製品はほかにも持っているので、すでにUCC2を持っているなら買い替えるほどではないかなと感じました。

ここまで辛口な評価にはなりましたが、それはUCC2と比較しての話。ケーブルチェッカーとしては絶大な信頼を置いています。
というのもケーブルチェックにおいて重要なのは不安定なケーブルを洗い出せることです。正常なケーブルが正しく表示されるのも、完全に断線したケーブルがわかるのも当たり前で、それができなければもはやケーブルチェッカーではありません。断線しかかっているとか内部でショートしているケーブルを洗い出したいわけです。

内部でショートしている不良ケーブル
左:UCC3ではショートしている端子が結線されていないと判断  右:安価なケーブルチェッカーでは正常なケーブルと同じ表示
左:UCC2では「D+」が高速に明滅している  右:ケーブルを片方だけつないだ状態でも「D+」が点滅している

UCC3もUCC2もこの点において非常に優れており、ケーブルの抵抗値を測定してくれますし、内部でショートしているケーブルも弾いてくれます。安価なケーブルチェッカーでは洗い出せない不具合を抱えたケーブルもしっかりと判別することができます。もちろんすべてが分かるわけではないかもしれませんが、ケーブルチェッカーとしてのクオリティはほかの製品より圧倒的に高いと感じていますので、チェッカーの購入を検討している人には積極的におすすめします。

またUCC3の最大のメリットは特殊な設定や操作がいらないことだと思います。多機能な製品ほどテスト内容に合わせて設定を変更したりボタンを何度も押してモードを切り替えたりする必要があるので、もうすでに詳しい人向けに設計されています。
一方でUCC3は多機能ながらケーブルをつなぐだけで自動的にモードを切り替えてくれるので、USBの仕様に興味を持ち始めたビギナーでも使いやすい製品だと思います。
ただ多機能に越したことはないですが、PD100W以上やThunderboltが必要になる製品はまだまだ少ないので、現状ではe-Markerの有無と結線状態さえわかれば十分なんですよねw。なのでとにかく使いやすいケーブルチェッカーが欲しい人にはUCC3じゃなくてもUCC2で十分なんじゃないかなとも思います。

UCC3のメリット
◎お手軽簡単! つなぐだけで自動的にチェック
◎ケーブルチェックの精度(不安定なケーブルも洗い出せる)
〇結線状態の確認
〇ケーブル抵抗値の測定
〇Rp/Rd抵抗の測定
〇e-Marker情報の取得
〇ポートチェック機能が面白い

UCC3のデメリット
×視認性が悪い

×電池持ちが悪い
△分厚い
△Thunderboltに非対応
△Rp/Rd抵抗の表示はどちらか一方のみ
△充電プロトコルの対応が少ない
△ポートチェックで情報が取得できないことも多い

UCC3まだ一般販売は開始していないため現時点では購入手段がありませんが、想定売価は8,480円を予定しているようです。
BitTradeOneではUCC2のセールも開催していますので、USBの規格に興味を持った方や気づいたら増えてるUSBケーブルの整理をしたい方はぜひ購入してみてください。(Amazonやヨドバシでも購入できます)

BTOS公式HP
ADUSBCIM USB CABLE CHECKER 2
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Amazonリンク
BitTradeOne ADUSBCIM USB CABLE CHECKER 2
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どれを買ったらいいか迷う方に

初めてUSBケーブルチェッカーを買う人には「USB Cable Checker 2」をおすすめします。

Type-Cの仕様をより詳しく知りたい人には「USB Cable Checker 3」をおすすめします。

多種多様なガジェットを研究したい人には「USB Cable Checker 3」だけでは対応していない機能が多いため、「多機能なUSBテスター」も併せて購入することをおすすめします。

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出来る限りいろんなことを動画、記事にしたいと思っているのですが、基本自腹で検証をやっているため金銭的にも時間的にも限界があります。応援してくださる方がいらっしゃいましたらAmazon欲しいものリストからよろしくお願いします!

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