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USBテスター(USBケーブルチェッカーやUSBチェッカー等)の違いと選び方

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USBに関するチェッカーにもいろいろな種類があります。それぞれできることが異なりますので、簡単にまとめてみました。

まず大きく分けると「ケーブルに関するもの」「通電状況に関するもの」「USBポートに関するもの」の3種類に分かれます。
「ケーブルに関するもの」はケーブルの結線状態の確認や素性確認に特化しており、「通電状況に関するもの」は通電状態の確認に特化しています。「USBポートに関するもの」はこれまでは充電プロトコルの検知やトリガー機能のことでしたが、UCC3のようにUSBポートの情報取得ができる製品も登場しました。
それぞれ主目的は異なりますが、同じような機能を搭載している製品もたくさんあるため違いが分かりにくくなっています。

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それぞれの機能の説明

① ケーブルに関するもの

・ケーブル結線確認:
ケーブル内部の結線状態を確認できます。ケーブルが対応している転送速度や機能がわかります。

・シールドの接地状況:
シールド(コネクターの外周)が接地されているか確認できます。接地されているケーブルはノイズに対する耐性が高いです。

・Rp/Rd抵抗確認:
Type-Cとそれ以外の旧コネクタの互換性を維持するため、ケーブルに必要となる抵抗。両端がType-Cのケーブルや両端がType-C以外のケーブルでは必要ありません。Type-Cが登場したころはこの抵抗が間違っている製品がありましたが、Type-Cが浸透してからは見かけなくなりました。

・ケーブル抵抗値測定:
ケーブル品質の指標の1つとして役立ちます。(あくまで目安)

・e-Markerの有無確認:
より高性能なケーブルか判断できます。

・e-Markerの情報取得:
どのような機能をもったケーブルか表示してくれます。


② 通電状況に関するもの

・通電状況のモニタリング:
ケーブルに流れている電圧・電流を数値で表示してくれます。通電方向やどういった充電規格で充電しているのか予想してくれる機能がついているものもあります。

・通電状況のグラフ表示:モニタリング内容を数値だけでなく、グラフでも表示してくれるので変化を把握しやすいです。

・容量測定:
通電状況を累積し、容量として測定してくれます。バッテリー容量の指標として役立ちます。

・PC接続(要専用ソフト):
PCと接続し、PCで数値やグラフを表示・記録することができます。PCからチェッカーの操作ができるものもあります。

AVHzY C3
POWER-Z KM003C

③ USBポートに関するもの

・USB充電の対応プロトコル検知:
USB充電器がどのような充電規格に対応しているか調べることができます。一般的にはPDが使われますがメーカー独自のものも数多く存在するため、どのプロトコルに対応しているかはチェッカー次第です。

・PDトリガー:
実際に機器がつながった状況をシミュレーションし、任意の電圧・電流を取り出すことができます。PD以外の充電規格のトリガーに対応しているものもあります。

・USBポートの情報取得:
Type-Cポートの対応モードや転送速度、機能を調べることができます。

実際に5製品の違いを比較

わたしが所有している以下の5製品の違いを簡単に紹介します。

①BitTradeOne USB CABLE CHECKER 3(UCC3)
②BitTradeOne USB CABLE CHECKER 2(UCC2)
③Treedix USB Cable Checker
④AVHzY C3
⑤POWER-Z KM003C

① BitTradeOne USB CABLE CHECKER 3(UCC3)

最新のケーブルチェッカーで、ポートチェック機能が売りです。特別な設定や操作が必要ないためビギナーにもおすすめ。

合わせて読みたい
USB Cable Checker 3(UCC3)が届いたのでUSB Cable Checker 2(UCC2)と比較レビュー
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ケーブルチェック(概要、eMarker情報)
ポートチェック(概要、Source PDO、Sink PDO、DIコマンド情報)

メリット
◎お手軽簡単! つなぐだけで自動的にチェック
◎ケーブルチェックの精度(不安定なケーブルも洗い出せる)
〇唯一USBポートの情報を取得可能(記事作成時点)

デメリット
×視認性が悪い
×電池持ちが悪い
△分厚い
△Thunderboltケーブルの判別ができない
△Rp/Rd抵抗の表示はどちらか一方のみ
△充電プロトコルの対応が少ない
△ポートチェックで情報が取得できないことも多い
△対応コネクタが少ない
△高価

△まだ一般販売開始前

② BitTradeOne USB CABLE CHECKER 2(UCC2)

ケーブルチェッカーの定番。ケーブルチェック以外の機能はないですが、ケーブルチェッカーとしてはUCC3よりも使いやすいと感じています。

ケーブルチェック

メリット
◎お手軽簡単! つなぐだけで自動的にチェック
◎ケーブルチェックの精度(不安定なケーブルも洗い出せる)
◎Rp/Rd抵抗が確認できる

デメリット
△e-Marker情報の表示ができない(EPRやThunderboltの判別ができない)
△ケーブルチェック以外の機能はない
△対応コネクタが少ない

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BitTradeOne ADUSBCIM USB CABLE CHECKER 2
BitTradeOne ADUSBCIM USB CABLE CHECKER 2
③ Treedix USB Cable Checker

UCC2が入手困難だった時期に登場した安価なケーブルチェッカー。機能は最小限ですが、対応コネクタの種類が多く、結線状態の表示も24ピンに分かれています。(24ピンに分かれているが全部の結線がわかるわけではない点に注意が必要)
各ラインにテスター用のランドがあるためブレークアウト基盤のように使うこともできます。普通のテスターがあれば確認できることが増えます。

ケーブルチェック

メリット
◎お手軽簡単! つなぐだけで自動的にチェック
◎24ピンを別々に表示
◎対応コネクタが豊富(microB3.0やLightningケーブルの確認も可能)
〇ブレークアウト基盤として使える
〇安価

デメリット
×ポート同士が離れているため短いケーブルはテスト不可
△LEDの点灯パターンに癖がある
△e-Marker情報の表示ができない(EPRやThunderboltの判別ができない)
△ケーブルチェック以外の機能はない
△このチェッカー単体ではわかることが少ない

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Treedix USBコネクタケーブルチェッカー
Treedix USBコネクタケーブルチェッカー

この製品にはUSB Cable Testerという新しいモデルもあります。
通常モデルはアップデートモデルの扱いで、機能面は同じです。ちゃんとしたケースが用意され、Type-Cによる外部電源での動作に対応しました。
LCDモデルのほうは上位モデルの扱いで、似て非なる製品となっています。e-Marker情報の表示に対応しましたが、テスト用のランドがなくなりました。コネクタの位置も変更になりケーブル長がよほど短くなければテストできます。
製品の特長には全く関係ないですが、新旧3製品の名前をもうちょっと分かりやすく差をつけてほしい…

公式ショップリンク
Treedix USB Cable Tester USB Cable Checker
Treedix USB Cable Tester USB Cable Checker
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Treedix USBケーブルチェッカー テスター
Treedix USBケーブルチェッカー テスター
④ AVHzY C3

USBチェッカーとしては大定番だったCT-3の機能が少し削られ、Type-Cに特化したモデル。CT-3のほうはType-Aにも対応しています。USBチェッカーとしては多機能なモデルで、PCソフトが使いやすく愛用しています。

ケーブルチェック(e-Marker情報)
通電チェック(簡易表示、詳細表示、容量測定、リップルのグラフ)
ポートチェック(プロトコル検知、トリガー)
PCソフト(シンプルで使いやすい)

メリット
◎コンパクト
◎PCソフトが優秀
〇多機能

デメリット
△少し古いうえ、ファームウェアアップデートがこない(CT3はアプデ来てるのに…)
△最大26V6Aのため、EPRに完全には対応できない
△e-Markerのシミュレーションができない(このチェッカーだけではPD60W以上を確認できない)
△Type-C以外は変換アダプタが必要
△ケーブルチェックの機能がない
△知識と慣れが必要
△一部機能は外部電源が必要
△単体ではPDOの表示ができない

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AVHzY C3 USB3.1テスター 電流電圧テスターチェッカー
AVHzY C3 USB3.1テスター 電流電圧テスターチェッカー
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AVHzY CT-3 USB3.1テスター 電流電圧テスターチェッカー
AVHzY CT-3 USB3.1テスター 電流電圧テスターチェッカー
⑤ POWER-Z KM003C

新しい規格もほぼ網羅している多機能USBチェッカー。画面が大きく単体で使う分にはC3より使いやすいのですが、いかんせんPCソフトが使いにくい…

ケーブルチェック(e-Marker情報)
通電チェック(概要、グラフ表示、リップルのグラフ)
ポートチェック(プロトコル検知、詳細画面、ケーブルシミュレーション、トリガー)
PCソフト(多機能だが使いにくい)

メリット
◎コンパクト
e-Markerのシミュレーションができる(テスター単体で3Aを超えるプロトコルを検知可能)

アプデがたまに来る
〇多機能
〇最大50V6AのためEPRに完全対応
ほぼすべての充電プロトコルに対応

デメリット
△Type-C以外は変換アダプタが必要
△ケーブルチェックの機能がない
△知識と慣れが必要
△一部機能は外部電源が必要
△PCソフトが使いにくい

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POWER Z タイプ C KM003C テスター電圧計
POWER Z タイプ C KM003C テスター電圧計

対応プロトコルの違い

UCC3とC3、KM003Cの3つは充電プロトコルの取得に対応していますが、対応プロトコルが異なります。それぞれの対応を表にまとめました。

UCC3が圧倒的に少なく、世の中で採用の多いPD・QC・Apple・DCPのみの対応。
C3は少し古い製品のため新しいプロトコルには非対応。
KM003Cは新しいプロトコルも含めほぼすべてのプロトコルに対応しています。

正直、メーカー独自のプロトコルは使う人の方が少ないと思うのでUCC3でも十分です。中華スマホのレビューや研究をしたい人には対応プロトコルが多いものをおすすめします。また検知できるプロトコル全てがトリガーできるとは限りません。トリガー機能が目的で購入する場合はそのあたりまで気にしましょう。

まとめ

どれも厳選して買ったチェッカーなのでいい製品なのですが、どれか1台あれば完璧というわけではありません。製品により結果が異なる場合もあるため、わたしの場合より正確に把握するために複数台所有しています。

USBテスターは最近は家電量販店やPCショップでも売られていますが、一般流通しているもののほとんどはシンプルな機能しかないUSBチェッカーで、値段も1000円~と安価に入手できます。しかしながら3000円を超えるのにモニタリングしかできないUSBテスターも売られています。多機能なものは店頭で販売されることはほとんどなく、AmazonやAliexpressから購入するのが一般的です。
値段が違うのに機能は同じだったり、外観が違うだけで中身はそっくりなこともあります。ぱっと見は同じ機能があるように見えても、データ通信の可否、最大電圧・電流や対応プロトコルの種類、サンプリングレート、検出精度、スーパーキャパシタの有無、液晶の回転機能、e-Markerのシミュレーション機能、ファームウェアアップデートの有無、など細かく見ると性能の差があります。

結局どのテスターを買ったらいいか迷う方に

今から購入する方には「USB Cable Checker 2」(ケーブルチェック)と「KM003C」(通電チェック、ポートチェック)のセットがおすすめです。
特にケーブルチェッカーはType-Cケーブルが増えてきたという人に積極的におすすめしたいですね。USBはどんなケーブルか外見からは判断できないケーブルも多いので、どれか1個あるだけでケーブル整理が捗ります。

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BitTradeOne ADUSBCIM USB CABLE CHECKER 2
BitTradeOne ADUSBCIM USB CABLE CHECKER 2
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POWER Z タイプ C KM003C テスター電圧計
POWER Z タイプ C KM003C テスター電圧計

ポートチェック機能に魅力を感じる方は現状では「USB Cable Checker 3」一択です。(記事作成時点ではまだ一般販売開始前)

いろんな機能を試してみたいけどお金はあまり掛けたくない!という方にも、最近はAmazonでも安価ながらそこそこ機能が多いものが登場していますので手が届きやすくなっています。(安定性や信頼性に難がある可能性はあります)

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usb チェッカー Aideepen USB-C電流電圧チェッカー
usb チェッカー Aideepen USB-C電流電圧チェッカー

こういったチェッカーを購入して良かったことは、製品の闇を暴けることや、品質の低いものを見つけることではありません。規格に対する理解がかなり深まったことです。これがなによりの収穫ですね。ネットで検索するだけでは理解できなかったり、疑問が残ってしまった部分を、実際に試すことで解決・納得に導くことができます。これに関してはチェッカーがあるとなしでは大違いです。
Aliexpressとかでしか購入できないものもまだまだたくさんありますが、Amazonでの取り扱いも増えていて購入の敷居は下がっていますので、気になった方はぜひどれか1つ購入して試してみてください。

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出来る限りいろんなことを動画、記事にしたいと思っているのですが、基本自腹で検証をやっているため金銭的にも時間的にも限界があります。応援してくださる方がいらっしゃいましたらAmazon欲しいものリストからよろしくお願いします!

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  1. TOMOCA

    すべて見えないものを可視化できるのがいいんですよね。
    その点ではスマホと充電器の通信を見せてくれるPDパケットキャプチャーは合法的に覗きができる格好のツールかと思います😄

    • amagi-to-enjoy-your-pc

      そうですね♪
      見えないものが見えるというのはわくわくします(*’▽’)
      合法的に覗きって笑っちゃいましたw

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