自作初心者編Part.2-1
こんにちは!あまぎです。
今回は自作パソコン初心者編Part.2-1
前回はパーツを選ぶ手順やOSについてお話しました。今回はCPUについてです。
基本的なことを中心に説明していきますが、何回も組んでいないとわからないところなどかなり細かく説明していく予定ですので、すでに組んだことがある人にもおすすめです。
なるべく組み立てのトラブルが回避できるよう安心安全を考えて説明していきます。
- 動画
- Intel-モデルNo.
- Intel-末尾のアルファベット
- Intel-iGPUについて補足
- Intel-ソケットの規格
- Intel-コア数スレッド数
- Intel-動作周波数
- Intel-消費電力
- AMD-モデルNo.
- AMD-iGPUの補足
- AMD-ソケットの規格
- AMD-コア数スレッド数
- AMD-動作周波数
- AMD-消費電力
注意事項
この記事は動画投稿時の製品ラインナップで解説しています。
そのため最新の製品が含まれていませんが、大まかな内容は同じです。
随時更新していきますのでご了承ください。
わたしが最初に選ぶパーツはCPU!
しかしPart.1でも触れたのですが、CPUはほとんどの場合予算でモデルが決まってしまいます。
なので初心者編ではCPU性能よりも自作をするうえで注意すべき点や知識として知っておいたほうがいいところを中心に説明していきます。
前半ではCPUを選ぶ際に重要になる世代とモデルNo、ソケットの規格、コア数スレッド数、動作周波数、消費電力を、後半では性能についてお話していきます。
CPUにはIntelとAMDの2メーカーがあるのでまずはIntelから見ていきましょう。
Intel-モデルNo.(ノートPC除外)
IntelにはCeleronセレロン・Pentiumペンティアム・Core iシリーズの3ブランドがあり、現在は第13世代と第12世代のものが主に販売されています。
まずはCeleronとPentiumについて
この2ブランドはモデルNoが少しややこしいので、新しい世代のもののみ紹介します。
モデルNoはブランド名+G+4桁の数字で表されており、CeleronはG6900、PentiumはG7400です。現在はそれぞれ1モデルずつしか販売されておらず、性能的にできることが限られるため自作初心者編ではあまりおすすめしません。
ネットをみたり、動画を見たり、簡単な作業をこなすには十分な性能ですが、次に紹介するCore i3と比較すると性能差が大きいのに対し価格差が小さいため、Core iシリーズで組むことをお勧めします。
そしてそのCore iシリーズ。Intelの定番ブランドで、さらに細かくi3,i5,i7,i9の4種類のブランドがあります。
モデルNoはこのようにブランド名+5桁の数字で表現されています。
上から2桁は世代を、百の位はグレードを表しています。グレードはi3では1から3、i5では4から6、i7では7、i9では8と9といったように分かれています。
十の位以降はデスクトップ用のCPUではあまり使用されませんが、動作周波数やキャッシュ・内臓グラフィックなど細かな違いを表すときに使用されます。
Intel-末尾のアルファベット
さらにIntelのCPUはモデルNoの末尾にアルファベットがついているモデルも存在します。
デスクトップ用CPUでは現在F・K・Tの3種類が使われており、それぞれCPUの特徴を表しています。
Fは内臓グラフィック(iGPU)が省略されているモデル。
iGPUがないため映像を出力するためにはグラフィックボードが必須です。
Kは倍率ロックフリーのモデル。
倍率が変更できるようになっているため、CPUの動作周波数を変更することができます。
標準の動作周波数も通常モデルより高めに設定されていますが、性能差はあまり大きくありませんのでもっぱらOC用のCPUといった感じです。
OCはパーツの特性を熟知していないと非常に危険です。
CPUの場合消費電力の増加の割に性能アップはわずかなためあまり実用的ではありませんのでおすすめはしません。
Tは省電力モデル。
通常モデルより消費電力の指標となるTDPが低く設定されており、省スペースなパソコンに向いています。ただその分動作周波数もかなり低くなっており、性能も下がります。
例えばこのように、Core i7-13700というモデルナンバーだけでもこれだけの種類があります。(13700K,13700KF,13700,13700F,13700T)中にはKFのようにKとF両方の特徴をもつCPUも存在します。
デスクトップ用以外ではTDP別にHX,H,P,Uが使われるなどほかにも種類がありますが、どれもマザーボードに組み込まれたCPUですので交換はできません。NUC(ナック)のようなミニPCが必要な場合に選ぶことになりますが、自作パソコンではあまり選ぶことはないでしょう。
Intel-iGPUについて補足
IntelのiGPUは性能はあまり高くないのですが年々性能アップしているため、動画をみたり、簡単なクリエーター作業であればこなすことができます。
最新のUHD770にもなると軽いゲームすらできてしまうほどiGPUも進化しています。とはいってもグラフィックボードに比べると性能はかなり低いので、過度な期待は禁物です。IntelのiGPUのなによりも優れた点はQSVだと私は思っています。
QSVという機能はエンコードやデコードに特化した機能で、実はグラフィックボードと同等かそれ以上にエンコードの性能は高いんです。エンコードとは動画の変換や書き出しのことだと思ってください。あんまり関係ないじゃんってなる人も多いかと思いますが、IntelにはQSVという優秀な機能があるとだけでもいいので覚えておいてください。きっと役に立つときがあるはずです。安いからって安易にFの付くモデルを買うとこのQSVも利用できなくなります。
必要な場面ではその価格差以上の価値がありますので注意しましょう。
Intel-ソケットの規格
CPUは世代ごとに対応するマザーボードが異なり、その対応を示すのがソケットの規格です。詳しくはマザーボード編でお話ししますが、Intelの場合2世代ごとにソケットの規格が変わっています。第12.13世代ではLGA1700、第10.11世代ではLGA1200という規格で物理的な形状が違うため互換性はありません。
現在主流のモデルはLGA1700と覚えておきましょう。詳しくはマザーボードの回で説明します。
Intel-コア数スレッド数
コア数とスレッド数はCPUの性能を手っ取り早く表している数値です。頭文字をとってCとTで表現されます。
実際の性能は動作周波数・キャッシュ容量・プロセスルール・設計など細かなものが影響してきますので、異なるメーカー間や世代が大きく異なると比較が難しくなりますが、ベンチマークを除いてもっとも性能を把握しやすい指標だと思います。
それぞれCPUの世代とブランドによって決まっており、一覧にするとこんな感じです。
現在主流の12世代、13世代のモデルは1つのCPUの中に2種類のコアが入っているモデルが存在するためかなり複雑になりました。1つ1つ覚える必要はないと思いますが、モデルナンバーが少し違うだけでコア数スレッド数はかなり違うということは覚えてください。
2種類のコアが入っているものはそれぞれPコアとEコアと呼ばれ8P+8Eのように表記されることも多いです。PコアはいままでのCPUにも搭載されていたコアと同じと思ってください。Eコアは12世代以降で追加されたコアです。Pコアは1コア当たり2スレッドありますが、Eコアは1コアあたり1スレッドですので8P8Eの場合は8C16T+8C8Tで16C24Tとなります。
これを感覚で理解するにはキッチンでたとえるとわかりやすいです。コア数はコックさん、スレッド数はコンロの数です。PコアとEコアがあるものはPコアがベテランのコックさん、Eコアが見習いのコックさんと考えましょう。
Core i3-13100は4コア8スレッドなので4人のコックさんに8つのコンロ。Core i5-13600Kは14コア20スレッドなので14人のコックさんに20このコンロ。Core i7-13700Kは16コア24スレッドなので16人のコックさんに24このコンロ、こんなイメージです。
ではコア数とスレッド数の違いでどう違ってくるのかというと
Pコアはベテランのコックさんなので一人につき二つまでコンロを使うことが出来るのですが、コンロ二つで同じような作業をすることはできません。煮物を作りながら炒め物はできるけど炒め物を同時に2つ作ることは出来ないということです。フライパンを二つ同時には振れないですよね?
Eコアは見習いのコックさんなのでベテランのコックさんのように2つの料理を同時に作ることはできず、1つのコンロしか使うことができません。また手際もよくないので料理のスピードも遅いです。なのでEコアは炒め物のようなスピード重視のものは苦手で煮物のような料理を得意としています。
万能なのはPコアですが、Eコアがあることによりうまいこと作業を振り分けることで全体の作業効率が上がるといった感じですね。
Pコアの同時作業もあくまでより効率よく作業をこなせるというもので同時にこなせるから性能が2倍というわけではありません。作業にもよりますがだいたい2~3割の性能アップしか期待できません。コア数スレッド数はどんどん変化しているためどの型番が何コア何スレッドと覚える必要はありませんが、性能を見る際に重要な指標になりますのでこれぐらいのコア数があるといいというなんとなくの感覚をつかんでください。
この必要なコア数については次回お話しする予定です。
Intel-動作周波数
動作周波数はクロックともいいますが、CPUの速さを表しています。
よくスペックとして書かれるものにベースクロックとブーストクロックがあるのですが、まずベースクロック。
これは通常気にしなくて大丈夫です。標準設定では実際にこの動作周波数で動くことはほぼありません。
そしてブーストクロック。これはCPUに設定されている動作周波数の上限値です。実はこれも実際の周波数とは少し異なります。実際の動作周波数は電力制限やCPUの温度に左右されますし、動いているコアの数によってブーストクロックは下がります。
どちらも実際の動作周波数ではないため、性能の指標としては優先度が低いのですが、ブーストクロックは実際の動作周波数と大きく差があるわけではありませんので、ブーストクロックの方であれば指標にすることもできます。
性能を見るうえでは先ほどのコア数スレッド数の方が影響も大きいですので、より簡潔にするなら動作周波数は気にしなくて大丈夫です。
Intel-消費電力
最近のCPUはコア数が増え動作周波数も高くなっている分消費電力もどんどん高くなってきました。
この表は各CPUの消費電力の指標と実際に私が図ったことのあるCPUの消費電力をまとめたものです。ここに書かれているTDP、PL1、PL2、PBP、MTPはすべて消費電力の指標です。実際の消費電力は標準的な設定で測定していますがマザーボードの設定ややる作業によっても大きく変わってくるのであくまで一例ですが、見てわかる通り実際の消費電力はどの指標ともずれていますよね?これが最近のCPUのやっかいなところでこれを話しだすと初心者編ではなくなってしまうので、とりあえず、これらの指標が役に立つとは限らないということを知っておいてください。
指標とはずれがあるもののi7やi9のような上位モデルはかなり消費電力が高くなりますので冷却にも気を使わないといけません。少し前までであれば消費電力は電力無制限にしなければ大きな問題にはならなかったのですが、最新のi7では標準の電力制限でも200Wを超えてきます。さすがにここまで消費電力が高いと発熱も多くなりますのでちょっと扱いにくい印象です。初心者向きで扱いやすいのはi5までですのでCPU選びは消費電力も参考にしたほうがいい基準なのかなと思っています。
Intelについてはここまで
ここからはAMDについてです。
AMD-モデルNo.(ノートPC除外)
AMDは現在RyzenというシリーズのみでRyzenは便宜上さらにRyzenとRyzenAPUの2つに分けられます。Ryzenは第5世代と第4世代のものが、RyzenAPUは第4世代のものが主に販売されています。AMDにはもともとAthlonというIntelでいうPentiumの立ち位置のCPUもあったのですがデスクトップからは消えました。
RyzenにはRyzen3、R5、R7、R9の4種類のブランドがあり、モデルNoはこのようにブランド名+4桁の数字で表現されます。
千の位はシリーズ名や世代を表しているのですが、一部数字がスキップされているため世代が分かりづらいのが欠点です。そのため第何世代と表現されることは少なく、Zen4やZen3のようにアーキテクチャーで書かれることのほうが多いです。百の位はグレードを表しており、R3では1から3、R5では4から6、R7では7と8、R9では9といったように分かれています。十の位はグレード内の微調整に使われているイメージです。
さらにRyzenにはモデルNoの末尾にXやXTがついているモデルが存在し、無印<X<XTの順にやや性能が上がります。また3Dとつくモデルもあり、特別なキャッシュを搭載したゲームに強いCPUとなっています。
RyzenはIntelと違ってすべてのモデルが倍率ロックフリーです。
Ryzenにはもともと内臓GPUがなく、内臓GPUを搭載したモデルは末尾にGをつけて、RyzenAPUとブランドを分けて呼ばれていました。しかし最新のZen4からは内臓GPUを標準で搭載しているため今後APUブランドがどうなるのかは不明です。
RyzenAPUのモデルナンバーもRyzenとほぼ同様なのですが昔のモデルは千の位がひとつずつずれていたためRyzenとRyzenAPUで同じシリーズ名なのに世代が違うという複雑な状況になっていました。5000シリーズでこのずれは解消されましたが、昔の製品を見るときはこのずれに注意しましょう。
RyzenAPUがRyzenと大きく異なる点は内臓グラフィックともう一つ、すべてのモデルで倍率がロックされています。デメリットというわけではありませんが、クロックを変更することはできませんので注意しましょう。
ノートパソコン用のRyzenのネーミングルールはさらにややこしいので省略しますが、全く違うルールに基づいたモデルナンバーになっていますので、デスクトップと同じ感覚で見ると勘違いを招きます。
十分に気を付けましょう。
AMDのiGPUの補足
AMDのiGPUはブランドごとに性能が違うのですが、RyzenAPUのiGPUはIntelのものより高性能なものが多いです。軽いゲームなら十分快適にプレイできてしまうほどGPU性能はいいのですが、VCEというエンコード機能(IntelでいうQSV)がすこしいまいちなんです。対応していないアプリも多く、画質面でもIntelより劣ります。エンコードの性能を気にする場合は注意しましょう。
Ryzen7000シリーズからRyzenシリーズにもiGPUが搭載されましたが、いままでのRyzenAPUのものと比べてGPU性能自体はかなり低いものになっています。iGPUを強化した新しいAPUも開発中のようですが、現時点では内臓GPUの性能が高いのはRyzen5000番のAPUモデル、その次にIntel、そしてRyzen7000シリーズと覚えておいてください
AMD-ソケットの規格
Ryzenという新ブランドができてから長いことAM4という規格が続いていましたが、Ryzen7000シリーズからAM5に変更されました。Intelが2年ごとに規格を変更するのに対し、AMDはAM4で5年間続けていましたので、AM5も同様に長く続く規格になると思います。現在はちょうど境目のためどちらにするのがいいのか悩むところだと思いますが、少し高くつきますが将来アップグレードの幅が広いのがAM5、今をとにかく安く組むならAM4です。わたしは将来性のあるAM5をお勧めしますが、この辺は予算にもよるので予算に合わせた選択をするほうがいいかなと思います。
AMD-コア数スレッド数
コア数とスレッド数に関する説明はIntelと同じですので省きます。
現在主に販売されているものに絞ると
RyzenはR3が4C8T、R5が6C12T、R7が8C16T、R9が12C24Tもしくは16C32Tです。Intelと違ってコアの種類は1種類ですのでシンプルです。
AMD-動作周波数
Intelと同じです。
AMD-消費電力
AMDは消費電力に関してもシンプルで指標となるのは2つ。TDPとPPTです。といってもPPTは実はTDPを1.35倍したものなのでどちらか一方だけでもわかれば問題ありません。またAMDの場合はこのPPTの値が実際の消費電力と近いことが多く、通常であればCPUのTDPを参考にCPUクーラーを選ぶだけですのですごくわかりやすくていいですね。
今回はここまで、次回の動画で実際にどれくらいの性能が必要になるのか!?
IntelとAMDはどちらがいいのかをお話していきたいと思います。