CPUクーラー

パソコン検証編Part.3-1「CPUクーラー検証レビュー KOTERSU Mark Ⅱ」後編

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今回はサイズ製の虎徹MarkⅡ後編です。
前編では装着や干渉についてみてきましたので後編でテスト結果をみていきます。

KOTETSU MarkⅡ前編
パソコン検証編Part.3-1「CPUクーラー検証レビュー KOTERSU Mark Ⅱ」前編
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検証PC構成やテストの流れについて
パソコン検証編Part.3-0「CPUクーラー検証レビュー 導入」
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標準の電力制限でのテスト

それでは温度を見ていきましょう。
まずは標準の電力制限でのテストから。このテストはあまり言うこともないのでパパっと見てきます。虎徹MarkⅡにはワイヤーは1セットしか付属していないのですが、デュアルファン構成も検証したのでそれぞれ紹介していきます。

シングルファン アイドル

まずはシングルファンから。ファンの回転数はマザーボードの自動制御で、このような設定になっています。
10分間のアイドルテストではこのような結果になりました。中央値で消費電力は24.2W、FAN回転数は497RPM、CPU温度は42℃となりました。今回検証機の構成と設定はアイドル時の消費電力が高くなる設定のためやや高めの温度になっています。(メモリーの設定をXMPからJEDECに変更するのとPCIeのASPMを有効にすると標準レベルの消費電力になります。)

シングルファン Cinebench R23

つぎにCinebechR23を1周回したときの結果です。負荷がかかっているときの平均値で消費電力は167.5W、FAN回転数は1081RPM、CPU温度は78.9℃となりました。グラフからわかることは、まず赤い丸で囲ったところはサーマルスロットリングが起こっていますね。本来テスト中の消費電力は電力制限により2段階になるはずなのですが、このグラフではPL2を維持できていないのがわかります。グラフ上ではCPU温度が100℃にはなってはいませんが、監視ソフトの記録タイミングにはある程度の間隔があるためその間に100℃になった瞬間があるというわけです。テスト開始後PL2の電力制限で動作していたけれどサーマルスロットリングにより徐々に電力制限、TauによりPL1に切り替わりテスト終了。という流れになっています。サーマルスロットリングが起こるまでの時間は約15秒でしたので本来の電力制限には耐えられないということになります。一応スコアはこんな感じでした。

シングルファン FF15

つぎはFF15ベンチです。負荷がかかっているときの平均値で消費電力は77.5W、FAN回転数は793RPM、CPU温度は63.9℃となりました。ゲームではこのグラフのようにデータ読み込み時など一時的に消費電力が上がることはあるものの高負荷な状態が続くことはめずらしいです。ベンチ台でのテストのためグラボの排熱の影響が少ないということもありますが、十分問題なく冷却できていると思います。グラフにはGPU温度も載せてありますが、平均値で69.6℃。そして負荷が高くなる戦闘シーン以降の騒音値も測りました。こちらはランダムのタイミングで12回測定した平均値になりますが41.1dBとなりました。スコアはこんな感じです。

デュアルファン アイドル

つぎにデュアルファン。ファンの回転数はマザーボードの自動制御で、このような設定になっています。

10分間のアイドルテストではこのような結果になりました。中央値で消費電力は17.0W、FAN回転数は504RPM、CPU温度は36℃となりました。シングルファンの時と比べて消費電力が低くなってしまったため温度の単純な比較はできませんが、このテストは取り直しする意味もあまりないのでこのままでいきます。

デュアルファン CinebenchR23

つぎにCinebnchR23を1周回したときの結果です。負荷がかかっているときの平均値で消費電力は167.7W、FAN回転数は1019RPM、CPU温度は77℃となりました。シングルファン同様赤い丸で囲ったところでサーマルスロットリングが起こっていますね。ただサーマルスロットリングが起こるまでの時間は約20秒とシングルの時より5秒伸びています。どのみち本来の電力制限には耐えられないというのは同じなのですが。一応スコアはこんな感じでした。スコアも伸びてはいますが正直誤差の範囲かなとは思います。

デュアルファン FF15

つぎはFF15ベンチです。負荷がかかっているときの平均値で消費電力は70.1W、FAN回転数は678RPM、CPU温度は57.8℃となりました。消費電力の差はあるもののその差以上にCPU温度が低くなっているように感じます。GPU温度も平均値で68.7℃と若干下がっていますので、デュアルファンの効果が少しは出ているんじゃないでしょうか。騒音値は12回の平均値で41.4dBと若干うるさくなっていますがこれについては後ほどお話します。スコアはこんな感じです。

TDPごとのテスト

そしていよいよTDPごとのテストです。ファンの回転数は先ほどと同様マザーボードの自動制御です。シングル・デュアルそれぞれ各TDPの結果を一つのグラフにまとめてみました。

シングルファン

まずはシングルファンから約10分間のテストで中央値は消費電力の高い順に89℃、89℃、84℃、77℃、72℃、64℃、56℃、45℃となりました。TDP175W以上のテストではTDPと実際の消費電力に差が生じたため、消費電力の中央値をカッコで記載しています。

また175W以上のテストでは温度のブレが大きくなっていますが消費電力はこのようにどのテストでもほぼ一定です。一番消費電力の高い225Wのテストのみサーマルスロットリングが働いたためこのような推移になっています。実際の消費電力が低いのはこのためです。そしてこの結果から虎徹MarkⅡの冷却性能は186Wということもわかります。ただしこの結果はあくまで今回の検証環境での結果なのでわたしの動画ではCS(CoolingScore)という造語とstandardの頭文字をとってCSsと勝手に呼びますが、虎徹MarkⅡのCSs=186Wです。

デュアルファン

つぎにデュアルファン。中央値は高い順に89℃、88℃、82℃、74℃、69℃、61℃、53℃、44℃となりました。先ほどと同様TDPと実際の消費電力に差があるものは実際の消費電力の中央値をカッコで記載しています。デュアルファン構成の冷却性能は192Wのようですね。ファンを追加したものをCS+と勝手に呼びますが、虎徹MarkⅡのCS+=192Wです。
このグラフでも温度の違いは見てとれますが、ちょっとごちゃごちゃしているのでもっとシンプルにすべての中央値だけをプロットしてみました。

そのグラフがこちらです。オレンジの点がシングルファン、青い点がデュアルファンの結果です。点線は傾向線で、このグラフではきれいな直線になりました。デュアルファンは全体的に性能向上がみられますが、若干ですね・・。実際CSs=186W、CS+=192Wと6Wの差なので性能面で見るとデュアルファンの効果は限定的かなと思います。

FANの回転数を変化させてのテスト

つぎにFANの回転数ごとのテストです。回転数はマザーボードのユーティリティで10%ずつ変化させて測定しています。

シングルファン

まずはシングルファンから。先ほどのテストでCSs=186Wということが分かったので、CSsを超える負荷をかけられるTDP225Wで測定しています。

これも結果を1つのグラフにまとめてみました。どのテストもサーマルスロットリングが働いて消費電力が下がっているため中央値は約10分間のテストの内最後の1分間のみで求めています。中央値は回転数の高い順に186W、181W、177W、173W、166W、160W、144W、128W、102W、60Wとなりました。回転数10%は20%と変わらなかったため省略しています。回転数0%の結果をCS₀と呼ぼうと思いますので虎徹MarkⅡのCS₀=60W。また赤い点線でnoctuaのFANデュアル構成に交換した時の性能を入れてありますが、CSM (CSMax)と呼ぼうと思いますので、虎徹MarkⅡのCSM=198Wとなりました。CSMとCSsの差がそれなりにあるためヒートシンクの性能を付属のファンでは引き出せていない感じがあります。付属ファンは1200RPMとCPUクーラーとしては低回転のため足を引っ張ているのかもしれません。

デュアルファン

つぎにデュアルファン構成。CS+=192WだったのでこちらもTDP225Wで測定しています。

中央値は回転数の高い順に191W、189W、187W、184W、180W、176W、164W、151W、116W、60Wとなりました。赤い点線は先ほどと同じでCSM=198Wです。さきほどよりかなりCSMとの差が小さくなっていますがやはりファンが足を引っ張っている感は否めませんね。

回転数ごとの結果もそれぞれの中央値だけプロットしてみました。傾向線が緩やかなカーブを描いていますね。この傾向線を見るにシングルファンでは1200回転以上も緩やかですが右上がりになっていますので、やはりヒートシンクの性能を引き出すには付属ファンでは回転数が少し足りないようです。一方でデュアルファンのほうは回転数100%の時点でほぼ平らなグラフになっていますので、これ以上回転数をあげても性能変化は小さいことが予測できます。また傾向線どうしの差が一番大きいのは中間あたりですので回転数が高い時より半分くらいに落とした時のほうがデュアルファンの恩恵が大きいこともわかりますね。

そしてファンの性能もグラフにしてみました。まずは回転数ごとの風量と騒音値のグラフです。風量の傾向線は緩やかなカーブを描いていますね。デュアルファン構成はシングルファンの時より回転数が少し低いため傾向線が若干ずれていますが差は5%くらいなので個体差の範囲内かなと思います。デュアルファンなのに風量は増えないの?って思う方もいると思いますが、CPUクーラーの場合ファンが直列に配置しているためファンが何個になっても風量は増えません。直列にファンを増やした場合に増えるのは風量ではなく静圧です。静圧に関しては測定の仕方が分からなかったため申し訳ありませんが省かせていただきます。

騒音値は環境音以下が測定できないので傾向線はありませんが、なんとなくこんなカーブを描いているんじゃないでしょうか。騒音値は回転数が高くなるとかなりの角度で上昇していくのが予測できますね。

ここでちょっとFF15ベンチのテスト結果の話に戻ります。FF15ベンチでは騒音値が41dBを超えていたのですが、ベンチ中のCPUクーラーの回転数を考えると騒音値は最大でも34.2dBほどだったことがこのグラフからわかります。つまりゲーム中の騒音値はCPUクーラーの騒音値ではなく、ほぼグラボの騒音値によるものだったということになります。そのためデュアルファンのほうが騒音値がうるさくなっていたのはたまたまだった可能性が高いんじゃないでしょうか。

話を元に戻しますが、このグラフの結果を風量と騒音値を軸にプロットしたグラフがこちらです。このグラフのほうが風量の増加に対し騒音値の増加が顕著に高くなるのが分かりますね。

さらに騒音値を回転数別の冷却性能と照らし合わせたグラフがこちら。これを見てもやはりファンの回転数による性能上昇より騒音値の上昇が目立ちますね。このグラフをパッと見ただけでは回転数50%前後が良さそう!と思ってしまいますが、シングルファンであれば100%時でも35.0dBと環境音に対し+1.2dBほどしかないので、うるさいかと言われるとそんなことはありません。よほど静かな環境でなければ気にならない程度の騒音値ですので、よほど神経質にならなければ気にしなくて問題ありません。わたし個人の感覚ですが36dB未満であれば気にならないレベルだと思いますので、36dBを切るもっともいい結果をCSLN(LowNoise)と呼ぶことにします。虎徹MarkⅡのCSLN=186Wです。
デュアルファンの方も100%時でも38dBを切るので実用レベルに抑えられてはいますが、回転数を90%にするだけでめちゃくちゃ静かになります。今までの結果からもわかるように性能向上はわずかしかありませんので、デュアルファン構成のメリットは性能アップではなく性能を維持しながらファンの回転数を落とせること、つまり静穏化のためのファン増設と考えましょう。
また記事の中でファンの回転数が低いから足を引っ張っていると言いましたが、ファンの回転数を上げるともちろん冷却性能は上がると思います。でもその代償として騒音値が急激に高くなってしまいます。実際CPUファンの回転数は手動で調整しない限り、高負荷時は100%の回転数で回る設定になっていることがほとんどです。どこからうるさいと感じるかは人それぞれですが、細かな調整をしなくても静かで冷えるのにこしたことはありませんので、虎徹MarkⅡはとても扱いやすい製品なんじゃないかなと思います。
おそらくですが、メーカーも性能向上と騒音値を天秤にかけて、うるさくてより冷える製品より、100%回転でも静かで冷える製品として売り出したかったんじゃないかなと思います。

FANを統一してのテスト

そして最後のテスト。TDP65Wでファンレスのテストをやってみました。FAN回転数0%での負荷テストはすでに1つやっていますが、低発熱環境でのどのように推移するのか気になったのでグラフにしました。10分間のテストでは温度が一定になるところまではいけませんでしたが、CS₀=60Wだったのでこのまま負荷をかけ続ければおそらく100℃に達してしまうんじゃないかなと思います。

以上で結果の紹介は終わりです。

最後に性能をまとめたグラフを1画面にまとめておきました。またCPUの消費電力って普通どれくらいなの?って人向けに各CPUの仕様上のTDPとわたしが実際に測定したことのあるCPUのCinebench実行時の消費電力を一覧にしておきましたので参考にしてください。
忘れてはならないのはこれらの結果はあくまでわたしの検証環境での結果です。消費電力も温度も使用パーツや設定、ケースのエアフローなどあらゆることに影響されますので必ずしもこの結果通りになるとは限りません。とくにCPU内部の設計や発熱密度は温度を左右する大きな要因になりますので、ぜひいろんな経験をして最適解を見つけていってください。

まとめ

メリット

デメリット 

おすすめ度

AMaGiのおすすめ度は☆4
気になる欠点もあったので☆を1つ落としていますが、とりあえずこれを買っておけば大丈夫と安心しておすすめできる製品の1つです。
後継モデルの発売で虎徹MarkⅡ自体は終売となっていますが、値段と性能のバランスが良くわたしの一押しの製品でした。干渉をあまり気にする必要がなく、ファンの調整もいらないのでとても扱いやすいです。
MiniITXでは背面チップに注意しましょう。
終売しているためもう購入はできないと思いますが、使っている人も多いと思いますのでぜひ大事に使ってください。
他にも話したいことはたくさんあったのですが、この時点ですでにたくさんの人がブラウザバックしていると思うので重要なところを中心にまとめたつもりです。わたし自身なんでこんなに長くなるんだろといつも思っていますが、ほかの製品もこんな感じで徹底的に紹介・検証していきますのでこれからもお付き合いいただけると嬉しいです。
それでは今回はこの辺で終わりたいと思います。

この検証編はわたし個人の考察です。見解は人それぞれですし、用途によって製品に求めるものは変わってきます。いろんな動画やサイトを見て自分にとっての正解を見つけてください。1人2人の意見だけで決めつけるのではなく、たくさんの意見を取り入れていってください。

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