パソコン検証編Part.3-8「CPUクーラー検証レビュー ASSASSINⅢ」後編

今回はDeepCool製のASSASSINⅢ後編です。
前編では装着や干渉についてみてきましたので後編でテスト結果をみていきます。


標準の電力制限でのテスト
ここからは温度を見ていきましょう。
最初にお詫びです。

先ほどメモリーの高さ制限についてお話ししましたが、検証環境のメモリーもヒートシンク付きのメモリーだったためファンを本来の位置に取り付けができません。そのためメモリーのみ標準の高さのメモリー(CENTURYMICROのCE16GX2-D4U3600/4000)に変更しています。
動作クロックは同じにできましたが、タイミングは同じにできなかったためXMPプロファイル1に設定しています。検証環境が変わってしまい申し訳ありませんが、ご理解いただきますようお願いいたします。
まずは標準の電力制限でのテストから。このテストはあまり言うこともないのでパパっと見てきます。シングルファン構成での検証もしたのでそれぞれ紹介していきます。
デュアルファン アイドル


まずは標準構成から。ファンの回転数はマザーボードの自動制御で、このような設定になっています。
10分間のアイドルテストではこのような結果になりました。中央値で消費電力は19.3W、FAN回転数は404RPM、CPU温度は36℃となりました。今回検証機の構成と設定はアイドル時の消費電力が高くなる設定のためやや高めの温度になっています。(メモリーの設定をXMPからJEDECに変更するのとPCIeのASPMを有効にすると標準レベルの消費電力になります。)
デュアルファン Cinebench R23


つぎにCinebnchR23を1周回したときの結果です。負荷がかかっているときの平均値で消費電力は178.6W、FAN回転数は947RPM、CPU温度は70.4℃となりました。消費電力がきれいな2段階のグラフになっており、サーマルスロットリングは起こっていないことがわかりますね。最高温度も85℃とまだまだ余裕がありますので本来の電力制限でも問題ないと思います。
一応スコアはこんな感じでした。
デュアルファン FF15


つぎはFF15ベンチです。負荷がかかっているときの平均値で消費電力は103.5W、FAN回転数は686RPM、CPU温度は63.2℃となりました。ゲームではこのグラフのようにデータ読み込み時など一時的に消費電力が上がることはあるものの高負荷な状態が続くことはめずらしいです。ベンチ台でのテストのためグラボの排熱の影響が少ないということもありますが、十分問題なく冷却できていると思います。グラフにはGPU温度も載せてありますが、平均値で69.4℃。そして負荷が高くなる戦闘シーン以降の騒音値も測りました。こちらはランダムのタイミングで12回測定した平均値になりますが40.2dBとなりました。スコアはこんな感じです。
シングルファン アイドル


つぎにシングルファン。ファンの回転数はマザーボードの自動制御で、このような設定になっています。
10分間のアイドルテストではこのような結果になりました。中央値で消費電力は20.0W、FAN回転数は414RPM、CPU温度は38℃となりました。
シングルファン CinebenchR23


つぎにCinebnchR23を1周回したときの結果です。負荷がかかっているときの平均値で消費電力は176.0W、FAN回転数は1031RPM、CPU温度は75.2℃となりました。シングルファンでもサーマルスロットリングは起こっていませんが、そこまで余裕があるわけではなさそうなのでMTPで長時間負荷がかかるとサーマルスロットリングが起こりそうな気がします。
一応スコアはこんな感じでした。
シングルファン FF15


つぎはFF15ベンチです。負荷がかかっているときの平均値で消費電力は107.7W、FAN回転数は821RPM、CPU温度は68.5℃となりました。デュアルファン構成よりもCPU温度が5℃も高くなっていますね。GPU温度は平均値で69.0℃で、騒音値は12回の平均値で40.0dBとなっています。
スコアはこんな感じです。
TDPごとのテスト
そしていよいよTDPごとのテストです。ファンの回転数は先ほどと同様マザーボードの自動制御です。標準構成・シングルファンそれぞれ各TDPの結果を一つのグラフにまとめてみました。
デュアルファン


まずは標準構成から約10分間のテストで中央値は消費電力の高い順に89℃、89℃、86℃、78℃、76℃、72℃、65℃、59℃、53℃、42℃となりました。200W以上のテストでは電力制限と実際の消費電力に差が生じたため、消費電力の中央値をカッコで記載しています。

また200W以上のテストでは温度のブレが大きくなっていますが消費電力はこのようにどのテストでもほぼ一定です。そしてこの結果からASSASSIN3の冷却性能は230Wということがわかります。ただしこの結果はあくまで今回の検証環境での結果なのでわたしの動画ではCS(CoolingScore)という造語とstandardの頭文字をとってCSsと勝手に呼びますが、ASSASSIN3のCSs=230Wです。
シングルファン

つぎにシングルファン。中央値は高い順に89℃、88℃、84℃、80℃、74℃、68℃、61℃、55℃、45℃となりました。先ほどと同様TDPと実際の消費電力に差があるものは実際の消費電力の中央値をカッコで記載しています。シングルファン構成の冷却性能は216Wのようですね。ファンを減らしたものをCS-と勝手に呼びますが、ASSASSIN3のCS-=216Wです。
このグラフでも温度の違いは見てとれますが、ちょっとごちゃごちゃしているのでもっとシンプルにすべての中央値だけをプロットしてみました。

そのグラフがこちらです。オレンジの点が標準構成、青い点がシングルファンの結果です。点線は傾向線で、このグラフではきれいな直線になりました。シングルファンは全体的に性能が低下していますが、CSs=230W、CS-=216Wと14Wも差がありますのでファンが減ると性能が予想以上に下がっています。
FANの回転数を変化させてのテスト
つぎにFANの回転数ごとのテストです。回転数はマザーボードのユーティリティで10%ずつ変化させて測定しています。
デュアルファン


まずは標準構成から。先ほどのテストでCSs=230Wということが分かったので、CSsを超える負荷が安定してかけられるTDP275Wで測定しています。どのテストもサーマルスロットリングが働いて消費電力が下がっているため中央値は約10分間のテストの内最後の1分間のみで求めています。中央値は回転数の高い順に229W、226W、223W、221W、212W、205W、186W、163W、77Wとなりました。回転数10%と20%は30%と回転数が変わらなかったため省略しています。回転数0%の結果をCS₀と呼ぼうと思いますのでASSASSIN3のCS₀=77W。

また赤い点線でnoctuaのFANデュアル構成に交換した時の性能を入れてありますが、CSM (CSMax)と呼ぼうと思いますので、ASSASSIN3のCSM=230Wとなりました。CSs とCSMが同じ数値ですので付属のファンでヒートシンクの性能が最大限発揮されていることがわかります。
シングルファン

つぎにシングルファン構成。CS-=216WだったのでCS-を超える負荷が安定してかけられるTDP250Wで測定しています。中央値は回転数の高い順に215W、212W、209W、204W、198W、182W、160W、131W、77Wとなりました。赤い点線は先ほどと同じでCSM=230Wです。シングルファンではかなりグラフが下にさがりましたね。

回転数ごとの結果もそれぞれの中央値だけプロットしてみました。傾向線が緩やかなカーブを描いていますね。この傾向線を見るに回転数に応じて性能は上がっていますが、回転数が高くなるにつれてほぼ平らなグラフになっています。また傾向線どうしの差は回転数が低いほど大きいですのでシングルファンでも回転数を維持すれば性能への影響は少なくできます。

そしてファンの性能もグラフにしてみました。まずは回転数ごとの風量と騒音値のグラフです。風量の傾向線は緩やかな曲線を描いていますね。標準構成とトリプルファンで回転数が若干違うため傾向線がややずれていますが差は3%以下なので誤差の範囲内かなと思います。
ファンの数が違うのに風量は増えないの?って思う方もいると思いますが、CPUクーラーの場合ファンが直列に配置しているためファンが何個になっても風量は増えません。直列にファンを増やした場合に増えるのは風量ではなく静圧です。静圧に関しては測定の仕方が分からなかったため申し訳ありませんが省かせていただきます。

騒音値は環境音以下が測定できないので傾向線はありませんが、回転数に対し指数関数的に増加しているのがわかりますね。

ここでちょっとFF15ベンチのテスト結果の話に戻ります。FF15ベンチでは騒音値が40dBを超えていたのですが、ベンチ中のCPUクーラーの回転数を考えると騒音値は最大でも36dB以下だったことがこのグラフからわかります。つまりゲーム中の騒音値はCPUクーラーの騒音値ではなく、ほぼグラボの騒音値によるものだったということになります。

話を元に戻しますが、このグラフの結果を風量と騒音値を軸にプロットしたグラフがこちらです。このグラフのほうが風量の増加に対し騒音値の増加が顕著に高くなるのが分かりますね。

さらに騒音値を回転数別の冷却性能と照らし合わせたグラフがこちら。これを見てもやはりファンの回転数による性能上昇より騒音値の上昇が目立ちますね。
わたし個人の感覚ですがこの環境音に対し+2dB程度(36dB未満)であれば気にならないレベル、+4dB(38dB)を超えてくるとなんかパソコン頑張ってるなぁって感じるレベルですので、標準構成でファン100%回転時はかなりうるさいです。回転数を80%以下に抑えれば十分静かになりますし、70%まで抑えるとめちゃくちゃ静かになります。わたしの動画では36dBを切るもっともいい結果をCSLN(LowNoise)と呼ぶことにしますので、ASSASSIN3のCSLN=221Wです。

ASSASSIN3にはLNA(ローノイズアダプター)というものが付属しており、これを使用すると最大回転数をちょうど70%に抑えることができます。延長ケーブルのようにかますだけで簡単に静穏化ができますのでおすすめです。
シングルファンでも100%回転時は38dBを超えてきますのでちょっとうるさいですね。こちらも回転数を少し抑えれば静かになりますが、CS-=216Wなのに対しCSLN=221Wと逆転していますので、騒音値だけでみると静穏性のためにシングルファンにするのはあまりいい手段とはいえないかもしれませんね。どう見てもシングルファンの静圧ではヒートシンクに負けてしまっていますのでデュアルファンで回転数を抑えるほうが絶対いいです。干渉など、どうしてもシングルファンにせざる負えない理由がない限りデュアルファンで使用しましょう。

DEEPCOOLも4台目ですのでもうお分かりの人もいるかと思いますがASSASSIN3にもこのグラフに表れていない欠点が1つあります。
それはファンの共振です。回転数80%以上で付属ファンの振動が強くなり、ファンの振動がヒートシンク本体に伝わり共振がおこります。シングルファンでもデュアルファンでも起こっていましたがデュアルファン構成ではかなり気になるレベルでしたのでケース内に入れても外に漏れるレベルだと思います。原因をいろいろ考えてみましたが、ファンのクオリティがいまいち、ヒートシンクへの固定が弱すぎる、防振ゴムが薄いもしくはこれらの複合なのかなと思います。どのみち回転数80%以上はうるさいと感じるレベルでしたので騒音値的にも、共振を避けるためにもやはり80%以下に抑えるのがいいと思います。これもさきほどのLNAを取り付けるだけで回避できますが、このあたりは個人差や個体差によると思いますので、自分にあった正解を見つけてください。
FANレスのテスト

そして最後のテスト。TDP65Wでファンレスのテストをやってみました。FAN回転数0%での負荷テストはすでに1つやっていますが、低発熱環境でのどのように推移するのか気になったのでグラフにしました。10分間のテストではサーマルスロットリングは発生せず、最高温度は78℃でグラフも最後はかなり平らになってきています。CS₀=77Wだったので65Wであればファンレスでも運用できそうです。ただファンレス用に設計されているわけではありませんし、このあたりはほかの製品と比較しながらのほうが分かりやすいので詳しくは別の動画で考察します。
以上で結果の紹介は終わりです。


最後に性能をまとめたグラフを1画面にまとめておきましたので、よりじっくり見たい人はこの画面をスクショしておいてください。またCPUの消費電力って普通どれくらいなの?って人向けに各CPUの仕様上のTDPとわたしが実際に測定したことのあるCPUのCinebench実行時の消費電力を一覧にしておきましたので参考にしてください。
そして重要なのはこの結果はあくまで検証環境での結果です。温度は使用パーツや設定、ケースのエアフローなどあらゆることに影響されますので必ずしもこの結果通りになるとは限りません。とくにCPU内部の設計や発熱密度は温度を左右する大きな要因になりますので、ぜひいろんな経験をして最適解を見つけていってください。
まとめ
メリット

デメリット

おすすめ度

※AMaGiのおすすめ度は☆1(干渉なしなら☆3.5)
まず最初に断っておきますが、バックプレートの干渉が致命的なため、注意喚起もこめてこの評価としました。干渉で取り付けられないならまだましだったのですが、最悪マザーボードを壊してしまいますのであまりにも致命的です。くれぐれも注意してください。
ただ干渉する製品は一部の製品に限られますので干渉を除けば☆3.5かなと思います。
検証中は14cmファンの割にうるさいなぁという印象でしたが、その分冷却性能は高いですし、LNAを使えば最大回転数を70%に抑えることができますので静かでよく冷える製品にも化けます。とにかく性能重視という人にも、静穏性重視の人にもどちらでもおすすめできるすごくいい製品だと思います。どうしても大型のクーラーのため干渉のリスクはありますが、それさえクリアすれば特に目立った欠点はありませんので積極的におすすめしたい製品ですね。あえて細かいことまで言うならばDEEPCOOLの製品に付属しているファンの分岐ケーブルは50cmと無駄に長く、LNAも合わせるとケーブルがかさばりすぎてごちゃごちゃするので、分岐ケーブルはもっと短いほうがよかったですw
おすすめと言ってるのに☆4じゃないの?って思う人もいると思いますが、その主な理由は値段です。評価は性能以外にも、値段や使いやすさなどいろいろなことを考慮していますのでASSASSIN3のような1万円クラスのクーラーはどうしても値段がマイナスポイントになってしまいます。CPUクーラーに1万円は高いと思うのが普通の感覚だと思いますし、水冷も視野に入ってくる値段ですのでこのあたりは予算や水冷の好き嫌いによって評価が分かれるところだと思います。わたしは水冷に対して消極的なのでASSASSIN3をおすすめしますが、もうちょっと奮発して水冷でいいじゃんという人の意見も最もですのでそこは自分にあったものを選んでもらえればなぁと思います。
そして何度も繰り返しになりますが、バックプレートの干渉についてはDEEPCOOL製品ほぼすべてに共通していますので早急に改善されることを願っています。
ほかにも話したいことはたくさんあったのですが、重要なところを中心にまとめたつもりです。ほかの製品もこんな感じで徹底的に紹介・検証していきますのでこれからもお付き合いいただけると嬉しいです。
それでは今回の動画・記事はこの辺で終わりたいと思います。
この検証編はわたし個人の考察です。見解は人それぞれですし、用途によって製品に求めるものは変わってきます。いろんな動画やサイトを見て自分にとっての正解を見つけてください。
1人2人の意見だけで決めつけるのではなく、たくさんの意見を取り入れていってください。
