CPUクーラー

パソコン検証編Part.3-9「CPUクーラー検証レビュー KOTETSU MARK3」前編

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今回はCPUクーラー検証編、本編の第9回目です。今回検証するのは虎徹の後継モデルのSCYTHE KOTETSU MARK3を検証していきます。旧モデルと比較しながら見ていこうと思います。

検証PC構成やテストの流れについて
パソコン検証編Part.3-0「CPUクーラー検証レビュー 導入」
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KOTETSU MARK3後編
パソコン検証編Part.3-9「CPUクーラー検証レビュー KOTETSU MARK3」後編
パソコン検証編Part.3-9「CPUクーラー検証レビュー KOTETSU MARK3」後編
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SCYTHE KOTETSU MARK3
SCYTHE KOTETSU MARK3

検証予定の製品や検証環境などの紹介は別の動画でまとめていますのでぜひそちらをご覧になってからご視聴ください。
かなり長い動画、記事となっていますが、この動画を見ればこの製品のことがだいたい分かった気になれるほど内容は濃いものになっていますので、ぜひこの機会にKOTETSU MARK3について詳しくなっていってください。

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製品の特長

それでは早速見ていきましょう。
まず開封の様子を流しながら製品の特長をみていきます。
開封すると付属品の箱が入っており、その下にファンと本体が入っています。本体はしっかりとクッションで保護されていますね。
KOTETSU MARK3の公式サイトでの仕様はこんな感じです。

付属品をすべて出した様子がこちらです。
(実測値はヒートシンクの表面積を計算するための測定なので最大長ではなく代表値です。ご注意ください。)

ヒートシンク本体は実測値で幅130.0mm、高さ155.4mm、厚さ49.1mm、重量は600g(リテンションブリッジ部を除くと550g)でシングルタワー構造となっています。
プラスチックのカバーを外すと高さが3.2mm低くなり、重量は22g軽くなります。ヒートシンクは2種類の大きさで構成されており、それぞれ厚み0.4mmのものが26枚ずつ、計52枚で構成されています。
ヒートシンク部のみの高さは101.8mm、ヒートシンク間の隙間は1.6mmでした。ヒートシンクの表面積は実測値からの大雑把な概算ですが663832mm²平方ミリメートルとなります。

CPUとの接触はベースプレートを介した構造でヒートパイプはφ6mm(太さ)が4本となっています。
ベース部分のサイズは38.0mm×40.0mmでIntelもAMDもすべてのCPUをカバーできています。
ファンはKFS1225FD15-Pが1つ付属しており、最大1500rpmのファンとなっています。厚みは25mmの一般的な厚みで防振ラバーがついています。
ファンの固定はワイヤーでひっかけるタイプで2セット分付属しています。
CPUクーラーの固定はマウンティングキットにねじで固定するタイプで対応ソケットの幅は広く、旧世代のものから最新世代まで幅広く対応可能です。

前モデルの虎徹Mark2RevBのときはファンの変更のみでしたが、Mark3ではファンの変更はなくそれ以外が変更になりました。なのでMark2から考えるとすべてが変更になっています。
ヒートシンクのサイズはほとんど同じですが、トップがプラスチックのカバーになり、その分フィンの枚数が減っています。フィンの厚みは少し厚くなり、フィン同士の隙間は狭くなっています。

ここでちょっと過去の動画、記事の訂正です。
虎徹Mark2の紹介のときにフィン同士の隙間は1.6mmと紹介していますが、今回の計測と矛盾が生じるため計算し直したところ1.7mmということがわかりました。間違った紹介となり申し訳ありません。それぞれの動画の方にも修正の説明をいれておきます。

ということなのでフィンが0.1mm厚くなった分フィンの隙間は0.1mm減りました。並べてみるとフィンの配置には変化がないのが分かりますね。ヒートパイプの走行も変更になっていてヒートパイプの湾曲が弱くなりヒートパイプ同士が近くなっています。

そのほかにもベースプレートのサイズが若干大きくなるなど変更点はかなり多いですね。

左:KOTETSU MARK3 右:虎徹MarkⅡ(KOTETSU MarkⅡ Rev.Bも同様)

上のほうのフィンがなくなって冷却性能に不安を感じる人もいるかもしれませんが、この写真を見てもらうとわかるように、もともとこの部分はろくにヒートパイプに接していないので性能にはほとんど影響はないんじゃないかなと思います。

それよりも気になったのは右端の切り欠きですね。どうみてもケーブルを通すためなのできっとあとからRGBモデルが出るんじゃないかなと予想しています。
(その後KOTETSU ARGBが発表はされたけどまだ発売されていません)

固定方法と装着時のクリアランス

それではここからは実際にCPUクーラーの固定方法と装着時のクリアランスを見ていきましょう。

AM4

まずはAM4から。AM4ではマザーボード標準のバックプレートを用いてマウンティングキットを固定します。マウンティングキットも一新されていますが、手順に変更はなく、マザーボードを挟みこむようにスペーサーを装着し、マウンティングプレートをネジで固定します。
実際にマザーボードに装着した様子がこちらです。マザーボードはGIGABYTEのX570 AORUS PROで撮影しています。

バックプレートにスペーサーとマウンティングプレートを同時に固定する必要があるため、バックプレートが動かないよう平らなところに置いたほうが作業しやすいです。
マウンティングキットが取り付け出来たら本体をネジで固定するだけですね。旧モデルではこのねじがかなり硬かったのですが、MARK3では取り付けしやすく改善されていますね。取り付けは標準的な100mmドライバーがあれば作業可能です。あとはワイヤーでファンを取り付けて完成です。

ファンの固定も旧モデルより柔らかくなりましたが、それでもやや硬めです。ただワイヤーの形状が変更になったおかげか取り付けのしやすさは格段によくなっています。左が虎徹Mark2、右がKOTETSU MARK3のワイヤーですが、指をひっかける部分が広くなっているのがポイントなのかなと思いました。Mark2では一気に固定する必要があり、ぐっと力を入れないと固定が出来ませんでした。MARK3では上、下と順番に固定することができるため、うまく取り付ければだいぶ指のダメージを軽減できます。

クリアランスに関してはATXマザーとそこまで大型ではないクーラーとの組み合わせということもあって全く問題なかったので省略します。

AM5

つぎにAM5。マザーボードはMSIのMAG B650M MORTAR WIFIです。CPUを買っていないため本体の装着まではできませんが、今の状態だとマザーだけでいっぱいいっぱいなのでご了承ください。AM5はバックプレートが取り外せない構造になっているため一部取り付けができないCPUクーラーもありますが、KOTETSU MARK3はAM5発売後の製品のため当然AM5にも対応しています。取り付け方はAM4と同様ですので省略します。

Intel(旧世代)

つぎにIntelの旧世代を見ていきましょう。Intelマザーではクーラーに付属品のバックプレートを用いて固定します。購入時のバックプレートのソケット位置はLGA1700の位置でしたので旧ソケットの場合ねじの位置をソケットの位置に合わせる必要がありますが、これがとても優秀で、指でスライドするだけで簡単に調整ができます。ただバックプレートがプラスチック製なのでねじの先端を押すとプラスチックが大きくたわみ、最悪割れてしまう可能性があります。できる限り根本を押してスライドするよう注意してください。

マザーボードを挟みこむようにスペーサーを装着し、マウンティングプレートをナットで固定します。
実際にマザーボードに装着した様子がこちらです。マザーボードはMSIのMPG B560I GAMING EDGE WIFIで撮影しています。

Intelマザーの場合このスペーサーが非常に優秀でバックプレートをスペーサだけでしっかり保持することが可能になっています。多少力を加えても簡単に外れることはありませんのでものすごく取り付けがしやすいです。この恩恵が大きいのはケース内にマザーボードを固定した状態で取り付けるときですね。ケース内ではマザーボードが地面から浮いた状態になりますのでスペーサーを取り付けさえすれば後ろからバックプレートを支えていなくても大丈夫なのは本当に助かります。

KOTETSU MARK3は装着をツールレスで行うこともできますが、ツールレスではしっかり締め切るのが難しいのと、何年間も使っているとファンの振動が伝わってねじが緩んでしまうことがたまにありますので個人的にはドライバーでしっかり固定することをおすすめします。

あとは先ほどのAM4の時と同様に本体をねじ止めしファンを取り付けるだけです。
Mini-ITXのマザーボードなのでクリアランスも見ていきましょう。

まずメモリー部分ですが、オフセット構造でしっかりと干渉を回避できています。高さのあるヒートシンクが装着されているメモリーでも問題なさそうですね。

つぎに背面側。こちらも特に問題はなさそうですね。大型のヒートシンクが搭載されているマザーボードでも大丈夫そうです。もしデュアルファンの構成にしたとしてもファンの高さもしっかりあるため大きく干渉するようなことはないと思います。

そして上下方向ですが、ここで重要になるのがサイドシフトです。おそらく正式にはオフセットと呼ぶのですが、わたしはメモリーとの干渉を避けるために後ろにずれているものをオフセット・拡張スロットとの干渉を避けるために横にずれているものをサイドシフトと分けて呼んでいます。

KOTETSU MARK3も旧モデル同様約5mmサイドシフトしています。ヒートシンクが130mmとファンより一回り大きいのですがこのサイドシフトのおかげで拡張スロットとの隙間がしっかりと確保され、最上段の拡張スロットを利用する場合に隙間を大きくとることができます。最近は最上段の拡張スロットは省略されることが多く、M.2のためのスペースになっていることも多いですが、グラボの付けはずしのしやすさにも影響してきますのであると便利な構造です。ただし、その分逆側のスペースが少なくなりますのでメリットばかりとは限りません。通常逆側はケースファンをつけるスペースになりますので、ケースによっては取り付けが大変になることもあるなどデメリットが0というわけではありませんが、普通の構成で組んでいれば干渉することは稀かなと思います。

そしてこのサイドシフト、実はminiITXでは恩恵があまりなく、恩恵が大きいのはATXや特にmicroATXマザーです。
というのもMiniITXの拡張スロットはマザーボード上の位置だけで見ると1段目なのですが、miniITXではCPUソケットの位置がやや上にずれていますのでCPUに対する拡張スロットの位置はATXマザーの1.5段目に相当する製品が多いです。そのためその分逆側のスペースが少なくなるというデメリットの方が悪目立ちすることもあります。

この写真でもそうでなのですが、miniITXにサイドシフトのクーラーを装着した場合ヒートシンクがCPUファンのコネクタにかぶさることがありますので、ケースに組み込む前に配線していないと大変になることもあります。実際のところはマザーボードやケースとの組み合わせによるとしか言えないのですが、こういったこともあるんだな程度に覚えておいてください。

Intel(LGA1700)

そして最後にLGA1700を見ていきましょう。取り付け方法はスペーサーが異なるだけで旧規格のソケットと同様なので省略します。実際にマザーボードに装着した様子がこちらです。マザーボードはASUSのPRIME Z690-Aで撮影しています。装着後の感じもこれまでの説明と同様なので省略します。

バックプレートとマザーボード背面のチップの干渉

ここまで特に大きな問題がないように見えますが、実は1つ大きな問題を抱えています。それはバックプレートとマザーボード背面のチップの干渉です。

この写真を見てください。なんとマザーボードのコンデンサーをバックプレートが踏んでしまっています。旧モデルではここがシリコン素材だったためアウトともセーフともとれる感じでしたが、Mark3ではこの部分は硬いプラスチック素材になったためこの状態で装着するのは非常に危険です。旧モデルでシリコンだったのも意図的ではなく偶然だったようですね。

この問題はうちにあるマザーボードだとMPG B560I GAMING EDGE WIFIとROG STRIX B660-I GAMING WIFIの2製品で確認できました。どちらも最近のminiITXマザーなので、もしかしたら最近の回路密度の高い製品で干渉しやすくなっているのかもしれません。ほかのこれらの製品は問題ありませんでした。AMDではマザーボード標準のバックプレートを使用するため問題ありませんし、Intelでも干渉しない製品のほうが圧倒的に多いと思いますが、気を付けておいて損はないかと思います。

そしてKOTETSU MARK3を触っていてすごく気になった点がいくつかあって、まず全体的になんていうかザラザラしているんです。特にフィンのバリ感が強く、けがをするってほどではないのですが、フィンを触っていると指にほんのり浅い傷が無数につきます。たくさんCPUクーラーを触ってきましたがちょっと加工が甘いのかなという印象を受けました。

つぎに装着圧について。取り付け時の装着圧がどのCPUクーラーよりも弱く感じました。
Mark2の装着圧がかなり強かったのではじめはそのせいかなと思ったのですが、いつもの感覚でグリスをヘラ塗りして装着するとグリスがしっかりとのびきっていませんでしたので明らかに装着圧が弱いです。わたしは比較的薄く塗っている方だと思っていますが、グリスを薄く塗り過ぎるとうまくCPUとの隙間を補完できない可能性がありますのでMark3ではグリスの量を気持ち多めにした方がいいかもしれません。

つぎに取り外しについて。装着の時にスペーサーがかなり便利と言ったのを覚えていますか?
旧モデルではそのスペーサーのせいで取り外しがしにくかったのですが、これに関しては改善されていました。ねじを押し込むように外さないとうまく外せないのは同じなのですが、スペーサーの改善により最後まで押し込まなくても途中でぽろっと外れるようになってます。さらに新しいスペーサーでは両面テープが使われていないためべたつかないのもGOOD♪

さらにさらに、これはかなり強くアピールしておきたいのですが、説明書がめちゃくちゃ丁寧!メーカーによってはどうしたらいいのかわかりづらかったり、取り付けはQRコードから動画でと書かれてるのに開くと「404NotFound」で、何のギャグ?となる製品もあります。KOTETSU MARK3は説明書が本当にわかりやすくて、もっとこういったところをアピールすればいいのにと思いました。

他にもベースプレートの保護フィルムに色がついて剝がし忘れの防止に貢献していたり、これはMark2RevBからなのですがフィルムにタブがついていて剥がしやすくなっていたりと細かなところもいろいろと改良されています。
いつにもましてよくしゃべるなぁと思われているかもしれませんが、KOTETSU MARK3が発売して以来SNSなどでは否定的な意見が多く嫌でも目に入ってしまいちょっと悲しくなったので、少し食い気味に普段なら省略してしまう細かなところまで紹介しましたw

以上が装着についてです。

KOTETSU MARK3後編
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