パソコン検証編Part.3-a「CPUクーラー検証 バックプレートの危険な干渉」

今回はCPUクーラー検証の番外編。CPUクーラーの干渉についてです。
といっても大型のCPUクーラーが周囲のパーツに干渉しやすいよという話ではなく、検証をしていくうちに判明したもっと致命的な干渉についてです。
検証動画ですでに触れている内容なのですが、あまりにも致命的な問題なのにほとんど認知されていないように感じたため、急ぎまとめ動画を作ることにしました。
少しでも多くの人に知ってもらいたいので拡散してもらえると嬉しいです。
いったいどのような干渉なのかというと、マザーボードに配置されているチップやコンデンサーをCPUクーラーのバックプレートが踏んでしまい、最悪壊してしまう可能性があるというものです。



こちらの写真を見てください。左がMSIのMPG B560I GAMING EDGE WIFI、右がASUSのROG STRIX B660I GAMING WIFIなのですが、CPUクーラーの固定穴周囲にまでコンデンサーやチップが配置されれているのがわかるかと思います。これをCPUクーラーのバックプレートが踏んでしまうことがあるんです。CPUクーラーのマザーボードと接する部分は絶縁されているため、ショートのリスクは低いですが、クーラーの装着圧は数百N(ニュートン)にもなりますのでその力がチップやコンデンサーにかかることになります。故障のリスクがかなり高い状態だとおもいますので注意しましょう。

わたしの手元にある製品でこの干渉リスクがあるのは写真の2製品のみで、他のこれらの製品は今回のようなリスクはないことを確認しましたが、他にも干渉のリスクがある製品はいくつもあるんじゃないかなと思います。特にMiniITXマザーでリスクが高いように感じていますが、もしかするとATXサイズでも干渉する製品もあるかもしれません。もしお持ちの製品で干渉するものがありましたら製品名をコメントで書いていただき情報を共有していただけると嬉しいです。

干渉するかどうかはCPUクーラーにもよりますので、先ほどの2製品に実際に組み合わせて確認したリストがこちらです。水色が水冷、黄色がトップフロー、それ以外はサイドフローの製品です。ヒートシンク本体の干渉などバックプレート以外の干渉については判断していませんのでご注意を。また旧ソケットとLGA1700はわたしの手元にあるもので確認しているためLGA1700はリテンションキットの場合があります。赤文字はリテンションキットの存在は確認できますが、わたしが入手できなかったものです。現行モデルは製品ページやマニュアルで確認し判断しています。
詳しくは後ほど1つずつ紹介しますが、〇は干渉がなく安全に使えるもの、△は判断が人によって変わってくるもの、×は干渉するため要注意な製品です。干渉するものの中には人気の製品もたくさんありますので、もし現在使ってるよという方は必ず干渉を確認して安全かどうか自分で判断してから使用を継続してください。MiniITXでも確実に安全に使いたいのであれば〇もしくは△のものから選ぶのが無難だと思います。
マザーボードメーカーが悪いのかクーラーメーカーが悪いのかはわかりませんが、パーツメーカーにはぜひこういったことがないよう改善してほしいですね。
この動画・記事で伝えたかったことはここまでで9割がた終わりですw
ここからはどのように干渉するのか1つずつ見ていこうと思いますので、興味がある方はみてください。
ここからは詳しく知りたい人向け
それでは順番に見ていきましょう。
FractalDesign Celsius S24

まずはFractalDesignのCelsius S24。旧ソケットもLGA1700も同じバックプレートでこの少し盛り上がった部分でマザーボードと接するため干渉はありません。
NZXT Kraken M22

つぎにNZXTのKraken M22。左が旧ソケット用で、右がLGA1700リテンションキットなのですが、どちらもこの少し盛り上がった部分で接するため干渉はありません。
NZXT Kraken X53 / X63

つぎもNZXTでKraken X53とX63。左が旧ソケット用では右がLGA1700リテンションキットなのですが、どちらもこの少し盛り上がった部分で接するため干渉はありません。現在販売されている新しいロットのものもこのリテンションキットと同じものになっています。
DEEPCOOL GAMMAXX L120 V2 / L240 V2 / L360 A-RGB / CASTLE 240EX


つぎはDEEPCOOLのGAMMAXX L120 V2とL240 V2、L360 A-RGBとCASTLE 240EX。旧ソケットではこのようなバックプレートを利用するのですが、この部分がマザーボードと接しますのでこのように干渉します。この部分の素材は硬いプラスチックですのでかなり危険です。LGA1700の方はリテンションキットなのですが、この少し盛り上がった部分で接するため干渉はありません。


現在販売されているのは新しいロットのものに変わっており、バックプレートもこのようなものに変わっています。このバックプレートはLS320、LS520、LS720も同じものです。旧ソケットもLGA1700もこの部分がマザーボードと接しますのでこのように干渉します。素材はやはり硬いプラスチックですのでかなり危険です。注意しましょう。
DEEPCOOL GAMMAXX 200T

つぎもDEEPCOOLでGAMMAXX 200T。旧ソケットはこのようなプッシュピンのマウンターを表から固定するタイプのため干渉はありません。LGA1700には新ロットで対応になりましたが国内では発売していないため非対応です。
DEEPCOOL GAMMMAXX 300

つぎもDEEPCOOLでGAMMMAXX 300。旧ソケットはプッシュピンタイプで表から固定するタイプのため干渉はありません。LGA1700には新ロットで対応になりましたが国内では発売していません。ただし、プッシュピンがLGA1366の大きさまで対応しているため旧モデルでもLGA1700への取り付けは可能です。
DEEPCOOL GAMMAXX C40 / GT / GTE V2

つぎもDEEPCOOLでGAMMAXX C40とGT、GTE V2。旧ソケットでは多少の差はありますがこのようなバックプレートを利用します。この部分でマザーボードと接しますので、このように干渉します。LGA1700のほうはリテンションキットなのですが、この盛り上がった部分で接するため干渉はありません。

C40とGTは終売になりましたがGTE V2は現在も販売されており、新しいロットのものではバックプレートがこのように変更されています。このバックプレートはGAMMAXX 400XTと同じものです。左が旧ソケット用、右がLGA1700リテンションキットで、どちらもこの少し盛り上がった部分で接するため干渉はありません。現在販売されているモデルもこの2種類のバックプレートが付属しています。
DEEPCOOL AK400 / AG400 / AK500 / AS500 / AS500PLUS / AK620

つぎもDEEPCOOLでAK400,AG400,AK500,AS500,AS500PLUS,AK620です。旧ソケットもLGA1700もこの分がマザーボードと接しますのでこのように干渉します。素材はやはり硬いプラスチックですのでかなり危険です。注意しましょう。

AS500のLGA1700非対応だったロットのみこのようなバックプレートになっています。このロットに付属のバックプレートはこの少し盛り上がった部分で接するため干渉はありませんが、LGA1700のリテンションキットは新しいロットと同じバックプレートでしたので干渉します。
DEEPCOOL NEPTWIN WHITE / ASSASSIN3

つぎもDEEPCOOLでNEPTWIN WHITEとASSASSIN3。旧ソケットではこのようなバックプレートを利用するのですが、この部分がマザーボードと接しますのでこのように干渉します。

LGA1700のほうはASSASSINのみ対応でリテンションキットなのですが、この部分がマザーボードと接しますのでこのように干渉します。どちらも素材が硬いプラスチックですのでかなり危険です。注意しましょう。LGA1700に対応した新しいロットではどちらのソケットもこのリテンションキットのバックプレートで対応するようになっていますので、どちらもやはり干渉します。

DEEPCOOLは同じ型番でもロットがいくつかありますので今紹介したものとバックプレートが違う可能性もありますが、主力製品はすべてこのバックプレートに統一されています。MiniITXマザーと組み合わせている人は本当に注意してください。
SCYTHE TYPE 920S

つぎはSCYTHEのTYPE 920S。旧ソケットではこのようなバックプレートを利用するのですが、この少し盛り上がった部分で接するため干渉はありません。LGA1700には対応していません。
SCYTHE 白虎2 / 超天

つぎもSCYTHEで白虎2と超天。多少の差はありますが旧ソケットもLGA1700も同じプッシュピンタイプで表から固定するタイプのため干渉はありません。
SCYTHE 手裏剣2 / BIG SHURIKEN 3 / BIG SHURIKEN 3Rev.B / 虎徹MarkⅡ / 虎徹MarkⅡRev.B / 忍者 五 / 無限五Rev.B / 無限五Rev.C / 風魔弐 / 風魔弐Rev.B


つぎもSCYTHEで数が多いので読み上げは省略しますがこれらの製品です。多少の差はありますが、旧ソケットもLGA1700もこのようなバックプレートを利用します。左が旧リビジョンで右が新らしいリビジョンとリテンションキットです。どちらもこの部分がマザーボードと接しますのでこのように干渉します。ただこの部分の素材はシリコンでクッション性はありますので危険ととらえるか大丈夫ととらえるか人によって分かれると思います。

無限5の旧リビジョンのみこのようなバックプレートになっていますが、干渉に関しても素材に関しても同様です。
Thermalright AXP90シリーズ

つぎはThermalrightのAXP90シリーズ。旧ソケットではこのようなバックプレートを利用するのですが、この部分がマザーボードと接しますのでこのように干渉します。ただメーカーがしっかりこのことを把握しているようで、説明書にバックプレートを反転させ長いネジを使うことで干渉を避けれると書いてありました。そのため〇の判定にしましたが、欠点としてこの写真でもわかるようにバックプレートやねじの高さがかなり高くなります。ケースとの干渉を気にする必要が出てきますので注意は必要です。

LGA1700のほうはリテンションキットなのですが、穴の形状が違うだけで大きさは旧ソケットと一緒でしたので取り付けに関しても同様です。現在販売されている新しいロットのものもこのリテンションキットと同じものになっています。
Thermalright AXP-100 H MUSCLE / Macho 120 Rev.B

つぎもThermalrightでAXP-100 H MUSCLEとMacho 120 Rev.B。旧ソケットではこのようなバックプレートを利用するのですが、この少し盛り上がった部分で接するため干渉はありません。LGA1700のほうはリテンションキットなのですが、穴の形状が違うだけで大きさは旧ソケットと一緒でしたので取り付けに関しても同様です。現在販売されている新しいロットのものもこのリテンションキットと同じものになっています。
Thermalright Assassin Spirit 120 PLUS / TRUE Spirit 120 Rev.B PLUS / Peerless Assassin 120 /
Frost Spirit 140 / FROST Commander 140

つぎもThermalrightで名前が長いので読み上げは省略しますがこれらの製品です。左が旧ソケット用、右がLGA1700用のリテンションキットです。どちらもこの少し盛り上がった部分で接するため干渉はありません。Thermalrightも同じ型番でロットがいくつもありますので紹介したものと違う可能性もありますが、対策は取られていると考えて問題はないと思います。
Noctua NH-U12A

つぎはNoctuaのNH-U12A。旧ソケットではこのようなバックプレートを利用するのですが、この少し盛り上がった部分で接するため干渉はありません。LGA1700のほうはリテンションキットなのですが、こちらもこの少し盛り上がった部分で接するため干渉はありません。

現在販売されている新しいロットのものはバックプレートがこのように変更されています。このバックプレートは手元にあるNH-D15と同じもので、旧ソケットもLGA1700もこの少し盛り上がった部分でマザーボードと接するため干渉はありません。
Coolermaster Hyper 212X / 風神スリム

つぎはCoolermasterのHyper 212Xと風神スリム。旧ソケットではこのようなバックプレートを利用するのですが、この部分がマザーボードと接しますのでこのように干渉します。LGA1700には対応していません。
Coolermaster Hyper 212 EVO V2 with LGA1700

つぎもCoolermasterでHyper 212 EVO V2 with LGA1700。旧ソケットもLGA1700もこの部分がマザーボードと接しますのでこのように干渉します。素材はやはり硬いプラスチックですのでかなり危険です。注意しましょう。
Coolermaster MASTERAIR MA410P / Hyper 412R

つぎもCoolermasterでMASTERAIR MA410PとHyper 412R。旧ソケットではこのようなバックプレートを利用するのですが、この部分がマザーボードと接しますのでこのように干渉します。わたしは購入時期の問題で対象外だったのですが、Hyper 412RのほうはLGA1700のリテンションキットが存在します。現在販売されているものは先ほどのHyper 212 EVO V2 with LGA1700のバックプレートと同様のものに変更されていますが、同じように干渉します。注意しましょう。
Coolermaster Hyper TX3 EVO

つぎもCoolermasterでHyper TX3 EVO。旧ソケットはプッシュピンタイプで表から固定するタイプのため干渉はありません。LGA1700には対応していません。この製品も現在LGA1700に対応したV2が販売されています。ただやはりバックプレートは先ほどと同様のものに変更されていますので干渉します。
ENERMAX ETS-T40

つぎはENERMAXのETS-T40-TB。旧ソケットではこのようなバックプレートを利用するのですが、この部分がマザーボードと接しますのでこのように干渉します。LGA1700には対応していません。
Thermaltake Contac9 / Contac Silent12


つぎはThermaltakeのContac9とContac Silent12。旧ソケットはこのようなプッシュピンのマウンターを表から固定するタイプのため干渉はありません。LGA1700のほうはリテンションキットなのですが、マザーボードと接する部分はちょっとわかりにくいですがこの部分です。一見よさそうに思えたのですが、わずかに干渉します。マザーボードによってはうまく回避できるかもしれませんが、判定は×とさせていただきました。現在販売されているものはこのリテンションキットと同じものですので注意してください。
Cryorig A40 Ultimate V2

つぎはCryorigのA40 Ultimate V2。旧ソケットではこのようなバックプレートを利用するのですが、この部分がマザーボードと接しますのでこのように干渉します。ただこの部分の素材はシリコンでクッション性はありますので危険ととらえるか大丈夫ととらえるか人によって分かれると思います。LGA1700には対応していません。
Cryorig C7 RGB

つぎもCryorigでC7 RGB。旧ソケットではこのようなバックプレートを利用するのですが、この部分がマザーボードと接しますのでこのように干渉します。ただメーカーがしっかりこのことを把握しているようで、説明書に付属のスペーサー使うことで干渉を避けれると書いてありました。そのため〇の判定にしましたが、バックプレートの高さ高くなりますので、ケースとの干渉には注意が必要です。LGA1700のほうはリテンションキットなのですが、穴の形状が違うだけで大きさは旧ソケットと一緒でしたので取り付けに関しても同様です。現在販売されているV2はこのリテンションキットと同じものになっています。
PCCOOLER GI-46U

つぎはPCCOOLERのGI-46U。旧ソケットではこのようなバックプレートを利用するのですが、この少し盛り上がった部分で接するため干渉はありません。LGA1700には対応していません。現在LGA1700に対応したV2が販売されていますが、公式サイトの画像を見た感じではCoolermasterのようなバックプレートに変更になっていますのでおそらく干渉します。注意しましょう。
GELID SilmHero

つぎはGELIDのSilmHero。旧ソケットでは背面からナットで固定するタイプのため干渉しません。LGA1700には対応していません。
ID-COOLING SE-224-XT / SE-914-XT

つぎはID-COOLINGのSE-224-XTとSE-914-XT。旧ソケットではこのようなバックプレートを利用するのですが、この少し盛り上がった部分で接するため干渉はありません。LGA1700のほうはリテンションキットなのですが、同様にこの少し盛り上がった部分で接するため干渉はありません。現在LGA1700に対応した末尾にAがついたモデルが販売されていますが、このリテンションキットと同じものになっています。
ID-COOLING IS-30

つぎもID-COOLINGのIS-30。旧ソケットでは背面からねじで固定するタイプのため干渉しません。わたしは購入時期の問題で対象外だったのですが、LGA1700も同様の固定方法ですのでおそらく干渉しないと思います。現在LGA1700に対応した末尾にAがついたモデルが販売されています。
PROLIMA TECH Samuel 17

つぎはPROLIMA TECHのSamuel 17。旧ソケットでは背面からねじで固定するタイプのため干渉しません。LGA1700には対応していません。
Intel純正

つぎはIntel純正。旧ソケットとLGA1700の互換性はありませんが、どちらもプッシュピンタイプで表から固定するタイプのため干渉はありません。

わたしが確認できたのは以上です。
クーラーメーカーによってはこの問題を把握していて回避できるように設計しているメーカーもありましたね。△は判断が難しいところですが、CryorigのC7では意図的に対策しているのに、A40 Ultimateでは△になっているので、メーカーはシリコンなら大丈夫という判断なのかもしれません。〇や△でも意図的なのか、はたまた偶然なのかわからない場合もありますが、こういった細かいところまでしっかり考えて設計をしているかどうかはメーカーの信頼度に大きく影響してくると思いますので、〇になっているメーカーはより安心出来るメーカーといえますね。
今回はこの辺で。
繰り返しになりますが、あまりにも致命的な問題なのにほとんど認知されていないように感じますので、すこしでも多くの人に知ってもらうためにもこの情報を拡散してもらえると嬉しいです。またもしお持ちの製品で干渉するものがありましたらコメントに製品名を書いていただき情報を共有していただけると助かります。