パソコン検証編Part.1-4「SSD検証レビュー第4回(完)」
こんにちはあまぎです。
SSD検証編もいよいよラスト。最後はCDMの再測定と各SSDの総合評価です。
テスト環境は第1回から同様です。詳しくは第1回の動画を見てください。
ヒートシンクについても1回目の測定と同様です。
再度CDMを測定
なぜもう一度CDMを測定したのか。それは単にSSDは空き容量に左右されるってよく言われるけど実際どうなの?って思たから。気になりますよね!
そこで今回はもう一度CDMを測定して数値に変化があるのか見ていきたいと思います。
ここまでの検証でどのSSDも総書き込み量が2TB弱、そしてデータドライブのテストの後なのでSSDの使用率はだいたい78%とそこそこパンパンの状態からのテストです。
それでは見ていきましょう。
980Pro
まずは980PROから。左にOSインストール直後のCDM、右に今回のCDMの結果を並べてあります。
全体的に速度が落ちていますね。特に書き込み速度の低下が顕著でシーケンシャルでは約半分に、ランダムでは2割ほど落ちています。読み込みもだいたい1割ほど遅く、特にファイルサイズが大きなものではランダムリードが4割ほど遅くなっています。やはりSSDは空き容量が少ないと性能が落ちるようですね。
S50Lite
次はS50Lite。980PRO以上に書き込み速度の低下が目立ちます。最大で6割以上の速度低下がみられますね。読み込みのほうは書き込みほど落ちていませんが、ファイルサイズが大きなものではかなり遅くなっています。
SN750
そしてSN750。
おや・・・?なんと!ほとんど大きな差がないですね。おそらくSLCキャッシュの使い方によるものかと思いますが、SN750は空き容量が少なくなっても性能を維持できるようです。
これは素晴らしいの一言に尽きます。
SN550
弟分のSN550はどうでしょう。
こちらも性能を維持できていますね。ストレージが気づいたらパンパンになってるっていう人にはWDがいいかもしれないですね。
P1
P1もなかなか健闘しているんじゃないでしょうか。ファイルサイズが大きなものでは驚くほど速度低下している部分もありますが、これは明らかにキャッシュ切れですねw
でもランダムリードの値はついにトップに立ちましたよ!空き容量が少なくなってもシステムドライブとしては優秀なようです。
SATA
そしてSATAのSSD。
読み込みに少し速度低下がみられますが、やはりWDのSSDはほかのメーカーと比較して速度低下が少ないようですね。
HDD
HDDは目的が異なるため省略させていただきます。
今回のテストではメーカー間の違いがはっきりと出ていましたね。CDMによる比較なので実際の速度とは異なる可能性が高いですし、空き容量によっては結果が大きく変わってくるかもしれないので、この結果がすべてとは限りません。しかし今回の結果では何よりもWDの粘り強さが明確に表れていました。CrucialのP1もランダムリードに関しては頭一つ飛びぬけた速さを維持できていたため、人によって各モデルの評価が大きく変わってくるのではないかと思います。
各SSDの総合評価
これまで様々なテストをやってきましたが、すべてのテスト結果をもとに各モデルを評価してみました。
980Pro
さすが最速モデルのSSD。システムドライブとしてもデータドライブとしてもトップクラスの結果でした。ただし空き容量には注意!詰め込みすぎると性能が大きく低下します。そして何より高い・・。下位モデルに980無印というモデルも存在します。速度はやや控えめですがSamsungならではの高速なランダムリードは健在です。こちらは13000円(当時の価格)ほどで買えるので手の届きやすいモデルとなっています。
S50Lite
つぎはS50Lite。
このSSDは謎の多いSSDでした。速いときもあれば遅いときもありかなり気分屋ですね。私的にはメーカーのチューニングが甘い印象でしたが実際のところどうなのかはわかりません。発熱も多く標準でヒートシンクがついていることもあり少し扱いづらいSSDでした。
ただ、いろいろ悩まされた分わたしは愛着が沸いていますw
SN750
そしてSN750。
1世代前の最速モデルだったSSDですが、データドライブとしてはトップクラス安定性と性能を発揮しました。WD製品はランダムリードが遅い製品が多いためシステムドライブとしてはやや見劣りする面もありましたが、空き容量が減っても速度があまり落ちない粘り強さは大きなメリットですね。SN750SEというPCIeGen4に対応し消費電力などが改善された新モデルも発表されていますので、今から購入する人はそちらがおすすめです。
またWDにはランダムリードが高速になったSN850という最新モデルもあります。980PROと同様最速モデルのひとつですので予算度外視で速度を求める人はこちらを購入しましょう。
SN550
そして弟分のSN550。
低価格のNVMe対応SSDとしては鉄板のSSD。性能はそこそこという感じでしたが、書き込みは安定していました。唯一と言ってもいい欠点はランダムリードの遅さ。大きな差ではないですが、システムドライブとしては他のSSDよりも見劣りする場合も多々あります。しかし何よりも安さが魅力なので目をつぶりましょう。
こちらもSN570という新モデルが発売されています。ランダムリードが改善されているようですので今後主流になる注目の製品です。
P1
お次はP1。
よくない噂の多いQLCNAND採用のSSDですが、システムドライブとしてはトップクラスの性能を発揮しました。QLCは耐久性が~だとか速度が~とよく言われますが、耐久性は1TBなら200TBまで保証されているため普通の用途では十分なレベルだと思いますし、速度も書き込み面ではQLCらしい欠点はあるもののこちらもやはり普通の用途ではほとんど気にならないのではないでしょうか。QLCの欠点は使い方次第でほとんど感じることはないのでQLCの特徴を理解し適切にSSDを選ぶことで安くていいSSDに化ける可能性は大いにあります。特にP1に関してはメーカーのチューニングが素晴らしい製品だと思います。普通の用途であればQLCであることを感じさせないどころか上位モデルに匹敵する面もあり、書き込みを多用しない用途であればP1はとてもコスパのいい製品だと感じました。
P1にはP2という新モデルも存在し、性能が少しよくなっているようです。
これから買う人はP2がおすすめです。
また上位モデルにP5やP5PLUSというモデルも存在します。どうしてもQLCはちょっと・・という人はこれらならTLCNANDですので候補にいれてみてはどうでしょうか。
SATA
そしてSATAのSSD。
今では標準的とも言えるいかにもSATAなSSDの結果でした。
左がSATAのSSD。右が980Pro。
高速なSSDと比較するとどうしても見劣りしますが、ただシステムドライブとしてはCDMほどの大きな差はありません。かといって今からSATAのSSDを選ぶメリットは少ないのですが、普通の用途であればわざわざSATAのSSDから高速なSSDに買い替える必要はないかと思います。
NVMeのSSDはマザーボード側の対応も必要ですし、複数のSSDを挿そうとするとソケットの数やレーン数の問題もでてきたりと様々な制約を受けやすく、その点SATAであれば気軽に増設ができる点は大きなメリットと言えます。発熱も少ないため省スペースなパソコンにはうってつけではないでしょうか。
注意点としてはここ最近のマザーボードではNVMeとSATAの逆転がおこっておりSATAの対応がどんどん少なくなってきています。特にIntel600シリーズではM.2がすべてNVMeのみ対応のモデルもありますので気を付けましょう。
HDD
SSDとの比較用にHDDも見てみましたが、やはりシステムドライブとしてもデータドライブとしてもSSDの圧倒的強さが見て取れましたね。ただ一度起動してしまうとあまり読み込みを行わないアプリであれば、読み込みさえ終わってしまえば特に遅さを感じることはありません。そうは言っても何かを読み込むたびにひっかかるような挙動があるためHDDでも快適とまでは言えません。そもそもSSDとHDDは目的がまるっきり異なるため、SSDとHDDを比べるのは無意味といえば無意味です。HDDには容量単価のコスパという圧倒的なメリットがあるので、大容量のストレージはまだまだHDDの独壇場ではないでしょうか。
SSDの選び方とおすすめ
最後にすべての結果をもとにわたしなりのSSDの選び方とおすすめをまとめてみました。
一般的な用途を前提としているため耐久性を求める用途はこのチャートには入れてありません。ご了承ください。
①ロマンを求めるなら、書き込み速度を求めるなら上位モデルのSSDを
上位モデルは目立った欠点があまりないため予算が許すなら上位モデルを買っておけば満足できるはずです。というより満足できないとRAIDとかサーバー用の製品を買う必要があります。単にロマンを求めるなら980PROやSN850のようなGen4対応最速モデルですが、旧規格のWD SN750のような製品でも上位モデルとしての強さは健在です。動画編集などたくさんのファイルを読み書きする場合でもあまり速度がおちることがありません。今回紹介した製品以外にも上位モデルのSSDはいくつもありますので自分の納得した製品を選びましょう。
②システムドライブとしてならランダムリード重視で
限られた予算の中でシステムドライブとして優秀なものが欲しいならCDMのランダム4KQ1T1リードの値を気にしましょう。同じメーカー間なら最新のNANDのほうがやはり速いですので、安さや過去の評価だけで旧製品に飛びつかないように注意しましょう。
新しいかどうかはNANDの積層数が一つの指標となりますので製品ページは要チェックです。わたしの一押しはCrucialのP1やP2です。QLC採用のエントリーモデルとはいえシステムドライブとしての性能は上位モデルに匹敵します。
③大容量を扱わないデータドライブとして使うなら書き込み速度と安定性重視で
限られた予算の中でデータドライブとして優秀なものが欲しいならCDMの値はあまり参考になりません。いままでの経験上WDのものは書き込みが安定しているモデルが多いですので、メーカーで選ぶのもありだと思います。
おすすめはWDのSN550やSN570です。WDのSSDは書き込みの安定性が高くHDDメーカーとしてのこだわりを感じます。
④大容量を扱うデータドライブとして使うならやはりHDD
SSDは安くなったとはいえ容量単価はまだまだHDDのほうが圧倒的に安いです。予算の制約がある限りHDDが第1選択になると思います。
今回検証した製品のほかにもたくさんの製品が存在します。SSDが登場したころからたくさんの製品を使ってきましたが、わたしはNANDやコントローラーを自社で作っているメーカーのほうが安心感があるように思います。SAMSUNG、WD(SanDisk)、KIOXIA、Crucial、Intel、KLEVVあたりですね。コントローラーは他社製というモデルもありますが、これらのメーカーから選んでおけばはずれは少ない印象です。そしてSSDは空き容量がすくなくなると速度が落ちるものが多く、容量がパンパンだと耐久性も低くなりやすいですので容量は余裕を持ったサイズにするのがとても重要かなと思います。
まとめ
ここまで様々なテスト結果をみてきましたが、いかがでしたでしょうか。
ストレージ性能はCDMの数値で表すことが多いですが、CDMの数値が必ずしもすべてではないことが分かっていただけたらなぁと思います。もちろんSSDは速いに越したことはないですが、その分値段もかなり高くなります。1TBで比べると現在最速と言われている980PROやSN850は20000円以上(当時の価格)しますが、エントリーモデルであれば1万円前後(当時の価格)で買うことができます。実に2倍の差です。
単にゲームをするだけだとか、ちょっとした事務作業のような用途であれば高速なSSDの恩恵は少ないのかなと思います。ストレージに求める性能は用途によって大きく変わってきますので、扱うファイルのサイズや同時にどれだけのファイルを処理するのかなど使い方が全てです。動画編集のように1つのストレージ上でたくさんのファイルを同時に扱うとなるとどうしても高速なSSDが必要になる場面もありますが、高価なストレージを1つ買うよりもそれなりのストレージを2つ買って使い分けるほうが快適に作業ができる場合も多いです。1TBの980PRO1台の値段でシステム用に1TBのP1データ用に1TBのSN550が買えちゃいますからね。負荷も分散出来て、容量も倍。いいこといっぱいです。またストレージをキャッシュのように使う場合は速度面以外にも耐久性を気にする必要が出てきたりと、選び方をあげだしたらきりがないですね。適切なストレージを選ぶには自分の用途に必要な転送速度をしっかりと見極め、用途に合わせた選び方をしていくことが大切です。まだまだいろいろ話したいことはありますが、うまく内容がまとまらないのと話し出すときりがないのでこのへんで終わりにしたいと思います。
最後にどんな製品を選んだとしてもバックアップは忘れてないでください。製品自体は壊れたとしても修理ができますし、交換もできます。でも大切なデータは一度消えると二度と戻ってこないかもしれません。万が一に備えてバックアップは習慣化しておきましょう。
以上でSSD検証編は終わりです。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
この動画・ブログが少しでもSSD選びの参考となればうれしい限りです。
SSD以外にもいろいろ検証はしているのですが、やりたいことが多すぎてなかなか動画化できていません。ゆっくりとではありますが徐々に動画・ブログを増やしていきますのでよろしければ他の動画・ブログも見てください。
この検証編はわたし個人の考察です
見解は人それぞれですし、用途によって製品に求めるものは変わってきます。
なかなか同じ条件で比較できるデータを見つけることは難しいと思うので、この動画・ブログの検証結果を参考に自分なりの最適解を見つけてください。