パソコン検証編Part.1-2「SSD検証レビュー第2回」
SSD検証編第2回はシステムドライブとしての性能を見ていきたいと思います。
テスト環境は第1回から同様です。詳しくは第1回の動画・ブログを見てください。
システムドライブとしての性能はPCMark10とゲームを使って計測しました。
テストではCPU直下のM.2スロットを使用し、マザーボード標準のヒートシンクを利用しました。ただ例外としてS50Liteはヒートシンクが標準装備のためマザーボードのヒートシンクは利用していません。またSATAのSSDはチップセット側のスロットしか対応していないため、マザーボードのヒートシンクがなく、ヒートシンクなしで測定しました。
PCMark10の結果
それではさっそくPCMark10から見ていきましょう。
項目ごとの数値はこんな感じです。
一番左のPCMark10と書いてある項目が総合スコアで、3種類のテストによって算出されています。
1つ目がEssentials
これは一般的な用途を想定したテストで、アプリの起動・ビデオ会議・ネットブラウジングの快適さを数値化したものです。
2つ目がProductivity
これは事務作業を想定したテストで、表計算と文書作成の快適さです。
3つ目がDigitalContentCreation
これはクリエーターを想定したテストで、写真編集・3Dレンダリング・動画編集の快適さです。
数値だと少しわかりづらいのでSATAのSSDを基準に比較してみました。
この数値はWD BLUE SATAのスコアを100%として各製品のスコアを比較したものです。5%以上スコアがよかったものを赤に、悪かったものを青にしてあります。
意外とどの製品も差はないですね。
気になる部分はというと、アプリの起動と動画編集。
特にアプリの起動はしっかりと差がついており、SSDの中でも1割以上差が開いていますね。動画編集でも高速なSSDではスコアに差がでています。そして何より目立つのがHDDの遅さ。思ってた以上に健闘はしているものの、アプリの起動や文書作成・動画編集ではしっかりと差が出ています。文書作成でこんなにも差がついたのは意外でしたが、やはりアプリの起動が致命的に遅いのでシステムドライブとしてHDDを使うのはかなりしんどい印象です。
用途によってはNVMeのSSDのほうがが好ましい場面もありますが、PCMarkの結果を見る限りではSSDであればどんな製品でもそこまで問題はないのかなとわたしは思います。
アプリを起動したらずっと起動しっぱなしという使い方であればHDDでもいいのかもしれませんが、容量の小さなSSDであればかなり安く入手できるのでわざわざSSDを避ける意味は薄い気もします。
ゲームベンチの結果
つぎにゲームの読み込み時間を見ていきましょう。
FF14ベンチマーク
このベンチマークではロード時間も測定されるため、ストレージの比較がしやすいテストになっています。各製品ごとに10回ずつ測定し、平均を取りました。
結果がこちら。
まずはスコア。若干の差はありますが、誤差の範囲内といった感じ。
スコアはストレージ性能に左右されないことが分かりますね。
そしてロード時間。ここでは製品ごとの差がしっかりとみて取れます。
SATAのSSDを基準に比較するとこんな感じ。
同じSSDでもNVMeのSSDの方がロード時間は短いですね。第1回のCDMの結果と照らし合わせてみるとランダムリードの速い980proやP1でロード時間が短く、ランダムリードの遅いWD製品はやや長くなっていますので、FF14ではランダムリードの速さが重要なことが分かります。
他のゲームではどうなのでしょうか。FF14以外のゲームも見てみましょう。
今回のテストではPUBGとGTAの起動時間とロード時間を測ってみました。これらも10回ずつ測定し平均をとっています。なるべく誤差が少なくなるよう目視ではなく映像を別のPCでキャプチャーし1フレーム単位で測定しています。
PUBGのロード時間
まずはPUBGから。PUBGではSTEAMの「起動」ボタンを押してからロビーの「マッチング開始」ボタンが表示されるまでを起動時間とし、マッチング開始後「参加しています」の表示に変わってから待機マップに飛ばされるまでをロード時間として計測しました。
結果はこちら。
びっくりだったのが起動時間はSSDでもHDDでもほとんど変わらなかったこと。ゲームによってはストレージに左右されないって場合もあるってことですね。しかし僅かな差ではありますが、概ねランダムリードの速い順に起動時間も短くはなっているため、ランダムリードの数値は完全には無視できないかもしれません。
一方でロード時間ではSSDとHDDでかなりの差が付きました。SSD同士の比較ではCDMの結果と相関性は見つけられなかったため誤差の範囲かなと思いますが、HDDとSSDでは6倍弱も差が出ています。すごい差ですね・・
ただし、ここで少し考えてみてください。PUBGは待機マップで結構待たされますよね?100人が揃って初めてゲームが開始する仕様となっており待機マップから対戦マップへの移動はロードがないんです。つまりゲーム開始は参加者100人の足並みが揃ってからということです。ロード時間がどれだけ短くてもすぐにゲームが開始できるわけではないんです。待機マップで待っている時間=100人が揃うのを待っている時間、つまりロードが速い人はロードが遅い人を待つ必要があるというだけで、ロードの速さの違いは広場で遊びながら暇潰しができるか、ロード画面が長時間表示されているかの違いなのではないでしょうか。しかもタイミングによってはマッチング自体にもかなり時間がかかるためPUBGのようなゲームではSSDによる恩恵は少ないと考えてもいいかもしれません。
GTA5のロード時間
GTA5ではオンラインへの参加はサーバーとの通信による差が大きく比較には向かないためストーリーでロード時間を測定しました。STEAMのプレイを押してからキャプチャー画面(設定やゲームモードの選択ができる画面)が表示されるまでを起動時間とし、そこからストーリーがロードされ画面左下のマップが表示されるまでをロード時間としています。
結果はこちら。
起動時間もロード時間もSSD同士の比較ではCDMの結果と相関が見られなかったため、誤差の範囲内かなと思います。HDDでは明らかに起動もロード時間も長くなっているのでSSDの方が向いているのは間違いないですね。ただし、ストーリーモードでは一度起動するとゲーム内のロードはほとんど感じないためオフラインに限って言えばHDDでも起動に時間がかかるだけと捉えることもできます。しかしオンラインではミッションに参加するたびにセッションの移動が必要でその度にロードが入ることになるためSSDの方が快適にゲームができるのではないのでしょうか。
温度
最後に温度を見てみましょう。
OS起動後のアイドル状態、PCMark、FF14、PUBG、GTA実行時の温度をグラフにしてみました。室温は24℃です。
SATAのSSDはヒートシンクを使用していない点、S50Liteは標準ヒートシンクを使用している点にはご注意下さい。
また温度はテスト時の平均温度を採用していますが、一番下にPCMark実行時の最大温度を追加してあります。
第1回のCDMの結果と同じようにGen4のSSDの方が少し温度が高い傾向にありますが、どのSSDも平均温度はアイドル時とほとんど変化がないですね。アプリの起動時には一時的に温度が上がることはあるものの温度上昇はわずかで、CDM時にはサーマルスロットリングが起こっていた標準ヒートシンクのS50Liteでもアプリやゲームの読み込みに関しては標準ヒートシンクのみでも十分冷却ができているといえます。
アイドル時よりも温度が低くなっているものすらありますが、これはSSD周囲のエアフローによるものだと考えられます。パソコンに負荷がかかるときはCPUファンもGPUファンも回転数があがりますので負荷のかかっていないときよりもエアフローが強い分温度が低くなったのだと思います。
システムドライブとして使う場合常に100%の負荷がかかり続けているってことはまずないと思いますので、普通の使い方であればあまり温度に神経質になる必要はないのかなと思います。
ただM.2のSSDはマザーボードやCPU、グラフィックボードといった発熱の大きなパーツに囲まれますので他のパーツからの影響をかなり強く受けます。各パーツの発熱もしかり、CPUクーラーの形状、グラフィックボードのFANの回転数などあらゆるものが温度を左右します。マザーボードによってはグラフィックボードの直下にSSDを取り付ける製品も存在しますので、そのあたりまで細かく見て吟味すると製品選びがより楽しくなりますよ♪
まとめ
今回はシステムドライブとしての性能を見てきましたがいかがでしたでしょうか。私の感想はSSDとHDDの差は思っていたよりも小さかったなぁという印象です。ただし作業によってはかなりの差が生じていますし、差が少なかったものに関しても意外ともっさりしていて数値以上の差を感じる場面も多かったのでやはりシステムドライブとしてHDDを使うのはおすすめしづらいですね。
そしてSSD同士の差についてですが、速いものも遅いものも通常利用ではあまり差を感じないというのが正直なところです。測定して数値化すると差が見て取れますが、実際に画面を見て作業しているかぎりではあまり分からないくらいの差です。しいて言うならばランダムリードの数値が速いSSDの方がアプリの起動やロード時間は良い結果になっています。ゲームによってはもっと大きな差が出る可能性がありますし、長い目で見ると大きな差になっていくので、少しでも起動時間やロード時間を速くしたいのであればランダムリードの数値を参考にしましょう。ただ今回の結果だけではわざわざ高いお金を払ってまでいいモデルが欲しいかというと・・理由としてはちょっと弱いかもしれないですね。
温度に関してもシステムドライブのように読み込みがメインの使い方であれば小さなヒートシンクあるいはヒートシンクがなくてもなんとかなりそうな印象です。もちろん高負荷な状態が続くと高速なモデルほど発熱が大きくなりますので大型のヒートシンクのほうが安心です。
次回は書き込みがメインとなるデータドライブとしての性能を見ていこうと思います。
この検証編はわたし個人の考察です
見解は人それぞれですし、用途によって製品に求めるものは変わってきます。
なかなか同じ条件で比較できるデータを見つけることは難しいと思うので、この動画・ブログの検証結果を参考に自分なりの最適解を見つけてください。